👩 妻のひとこと
4ヶ月近く、土地を探してきました。4つあった候補は、第1候補が連絡待ち、44坪が売れ、50坪に買付が入り、神社前の33坪は「狭いかも」で踏み切れずに——気がついたら、ほぼ振り出しに戻っていました。ランディとSUUMOで希望エリアを見直しても、見たことある土地ばかり。比較的よさそうな物件を夫に送ると、「週末に現地に行ってみようか」と返事が来ました。夫もネットで探し始めて、46坪の角地を見つけてきた。でも、値段は予算を大きく超え、建蔽率も30%と厳しいライン。角地緩和が使えれば突破できるかもしれない一方で、風致地区との関係で緩和の扱いが見通せず——私たちの基準は、4ヶ月のあいだに、ブレブレになっていました。
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📖 前回までのあらすじ
前回(第24話)、人気エリアの50坪に「購入申込あり」がついた朝、私がかけた電話は不動産業者の定休日のため休日対応センターに転送され、夫がB社(第1候補の業者)にかけた電話は担当者が休みでメールだけ送付、という形で終わりました。同じ日、44坪の業者から折返しの連絡があり、東側44坪は売却済みと判明。お値打ちの正体は土器の出土による文化財保護法の調査待ちでした。
わが家の4候補の現状:第1候補のB社の物件は連絡待ち、44坪は売れた、人気エリアの50坪は購入申込あり、神社前の33坪は「狭いかも」で踏み切れずに残っている。今回は、その数日後の話です。
振り出しに戻った——4ヶ月、4つの候補、ぜんぶ動かない
44坪の話が、電話で完全に閉じました。「売れました」と業者の声で聞いたとき、第23話の朝の「消えた」が、ここでようやく「売れた」に確定したことは、第24話で書いた通りです。
ただ、その確定が終わってみると、わが家の手元に残っているのは——
- 第1候補のB社の物件(連絡待ち、進展なし)
- 神社前の33坪(夫が「狭い」と感じて踏み切れず)
の、ふたつだけでした。人気エリアの50坪は「購入申込あり」のまま、誰かが進めている話。44坪は売れた。手の届かないところで物件が動いていくなかで、わが家が向かい合える土地は、ぐっと2つに減っていました。
4ヶ月近く動いて、業者を4社回って、毎日ランディを見て——気がついたら、ほぼ振り出しのような場所に立っているような感覚でした。動いていないわけではない。動き続けて、振り出しに戻った、というほうが近い。
⚡ 4ヶ月の振り返り
面談まで行った業者は4社(電話だけ問い合わせた5社目を含めると5社)。電話やメールでの問い合わせまで含めれば、もっと多くの業者と接触してきました。提案された物件は数十件。実際に現地まで見学したのは10件前後。それでも「いま、ここに決めたい」と思える土地は、いまだに1つもありません。
ランディとSUUMOを見直してみた——見たことある土地ばかり
それでも、止まってしまうわけにはいきません。
朝、子どもたちを送り出したあと、リビングのソファに座って、いつものランディ巡回に加えて、SUUMOも開き直しました。コーヒーを片手に、希望エリアで条件を入れ直して、上から順番に見ていく。
ところが、何度スクロールしても——「これ、見たことある土地だ」「これも、前に見た気がする」「これは……たぶん見た。たぶん」。
物件を見すぎたのだと思います。最初の頃は、新着が出るたびに「お、これは」と心が動いていたのに、いまは「あー、これ、また」になる。同じ土地が、また少しだけ価格を変えて、新着扱いで上がってきている。私が「見たことある」と感じているのは、その繰り返しのなかで、各物件の輪郭が私の頭の中でぼやけているからなのかもしれません。
それでも、画面を閉じる気にはなれませんでした。そのなかから、比較的よさそうに見えた1件を選んで、夫にショートメッセージで送ってみました。
「週末に現地でも行ってみようか」——夫からの返事
夫からの返事は、すこし前向きでした。
私が送った1件に、夫が「現地でも行ってみようか」と返してくれた——それだけで、ひとりで物件を眺めていた朝の感覚が、二人で動いている感覚に切り替わります。気持ちは、ほんのすこし軽くなりました。
夫もネットで探し始めた——46坪角地、隣の学区
その日の夕方、夕食の支度をしているところに、夫からメールが届きました。
夫もどこかで、ネットで物件を探していてくれたようです。送られてきたURLを開いてみると、確かに、わが家の希望条件にかなり近い土地でした。
- 敷地面積:46坪
- 形状:角地
- 学区:いまの学区から、隣の学区
- 用途地域:風致地区
- 建蔽率:30%
「46坪、角地、隣の学区」——条件として見れば、悪くない。私のなかでも、ふっと、「悪くないかもしれない」が浮かびました。
ただ、価格を見て、止まりました。
値下げ前の50坪より、さらに100万円高い土地
その46坪角地は、わが家の予算を大幅に超えていました。具体的には、第24話の50坪が200万円値下がる前の価格より、さらに100万円高い。50坪の値下げ前はわが家の予算より約1,000万円超だったので、46坪は予算より 1,100万円ほどのオーバー という計算になります。
この物件は、以前のランディ巡回でも目に入っていたはずです。ただ、そのときは「予算オーバー」のひと言で画面を閉じていました。それを今回、夫が改めて候補として送ってきた——夫のなかで「予算オーバー、でも見てみる価値はある」のラインが、すこし移動している、ということなのだと思います。
私のなかでも、最初は「ない」と思っていた物件が、今は「悪くないかもしれない」になっている。第21話で夫が「ここはいいね」と言った1,500万円オーバーの土地と、構造はよく似ています。あのときは「ない」と思っていた感覚が、ここではすこしだけ揺れている。
私たちの基準は、ブレブレだ
書きながら、はっきりと言葉になりました。
私たちの基準は、もうブレブレだ。
最初に「予算」「広さ」「学区」「方角」「駅距離」を並べて、優先順位をつけたはずでした。その優先順位どおりに動いてきたつもりが、4ヶ月後のいま、 *「予算オーバー1,100万円」を「悪くないかも」と感じている自分* がいる。これは、最初の基準とは違う場所に立っている、ということです。
ブレること自体は、悪いことではないと思います。4ヶ月歩いて見てきたぶん、最初の基準では拾えなかった「気持ちのいい土地」「ここなら住めそう」という感覚が、自分のなかで言語化されてきている——そういう側面もあります。
でも、 *気持ちが揺れることと、予算が動くことは、まったく別の話* です。
第1候補のB社の物件の価格は、まだ分かっていません。50坪の購入申込が流れる可能性も、ゼロではありません。そのなかで、いま新しく1,100万円オーバーの物件を引き寄せていったら、わが家のローン計画は、根本から組み直しになります。
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建蔽率30%という壁——46坪に建てられる家
その46坪角地には、もうひとつ大きな壁がありました。建蔽率30%です。
つまり、1階に建てられる面積は最大で約13.8坪(およそ45.6㎡)。一般的な4人家族向けの1階LDK・水回り・収納をすべて収めるには、かなり厳しい数字です。
わが家は2階建てを予定しています。それでも、1階13.8坪は、最初に思い描いていた間取りの形を、いったん組み直す必要が出てくる広さです。LDKを2階に上げる、もしくは収納や水回りの面積を削る——選択肢はありますが、当初のイメージから明らかに離れます。
13.8坪の1階に、玄関、トイレ、洗面、お風呂、キッチン、リビング——必要な部屋を並べてみると、家族でくつろぐLDKは、最低限の広さに圧縮されます。子どもたちが床に座って遊んだり、お客さんを呼んでテーブルを広げたり、というゆとりは、ほぼ残らない。希望していた暮らしのイメージから、明らかに離れる広さです。
風致地区——緩和の可能性も縛られる
「ただ、角地だから、建蔽率の緩和があるんじゃないか」と、夫がスマホを見ながら呟きました。
確かに、 角地緩和 といって、特定の条件を満たす角地では、建蔽率に +10% の緩和が認められる自治体が多いとされています。46坪 × 40%(30%+10%)なら、1階最大18.4坪。これなら、希望の間取りに近づける可能性があります。
ただ、その土地は 風致地区 でした。
都市計画法に基づき、自然の景観や緑を守るために指定されたエリアです。各自治体の風致条例により、建物の高さ・色彩・形状、敷地内の緑化率(植栽の確保)などに固有の制限がかかります。建蔽率・容積率の数値自体は用途地域で定まりますが、 *角地緩和などの一般的な緩和規定は、風致地区では適用されないことも多く、別途の協議が必要になる場合もあります* 。扱いは自治体の風致条例によって異なるため、購入検討段階で自治体の都市計画担当窓口に確認するのが安心です。
夜遅く、リビングのテーブルに、二人で並んでスマホを置きました。それぞれ違うキーワードで調べてみます。「角地緩和 風致地区」「角地緩和 適用条件」「風致条例 建蔽率」「○○市 風致条例」——画面の向こうから出てくる情報は、どれも一般論ばかりで、 *自治体の風致条例によって扱いが変わる* と書かれているところで、いつも止まりました。私たちの土地でどうなるかは、自治体に直接聞くか、業者を通じて照会するか、しないと分かりません。
夫の声に、わずかな疲れがにじんでいました。私も、同じことを思っていました。
不動産業者と一緒に動かないと、ここから先は難しい
土地探しを始めた頃、わが家のなかで、不動産業者は「物件を紹介してくれる人」のイメージでした。実際に4社を回ってみると、物件紹介は仕事の半分くらいで、残りの半分は、 *「この土地、こういう規制があります」「この擁壁は安全です/要注意です」「角地緩和、この自治体だと使えますよ/使えませんよ」を、私たちのために調べてくれる人* でもありました。
第18話で書いた「不動産業者は人で選ぶ」が、ここで改めて響きます。現地を見て「いいかも」と思った土地を、法令と現実の両面から「こういう制約があります」と教えてくれる関係——それが手元にないと、素人が「角地緩和は使えるのか」「風致地区だとどうなのか」を、スマホで延々と調べ続けることになります。
ただ、業者と一緒に動くということは、その業者の物件、その業者のスケジュール、その業者の判断軸にも、わが家を合わせていく、ということでもあります。それはそれで、別の縛りが生まれます。
第1候補のB社の物件を待っているあいだに、別ルートで、別の業者と動き始めるのが筋として正しいのかどうか。 *待つ判断* と *動く判断* のバランスが、ここでまた問われ始めました。
わが家の土地探しは、暗礁に乗り上げようとしているのかもしれない
夜、子どもたちが寝静まったあと、リビングのテーブルに、夫と二人で並びました。お茶を間に置いて、いま手元にある選択肢を、もう一度並べ直してみました。
「46坪、角地、隣の学区」は、悪くない。でも、予算オーバー1,100万円。建蔽率30%。角地緩和が使えるかどうかも、風致地区との関係で見通せない。
第1候補からの連絡が来ない。50坪は誰かが進めている。44坪は売れた。神社前33坪は「狭い」のままで踏み切れない。
ランディとSUUMOには、見たことある土地ばかりが並んでいる。
——わが家の土地探しは、 暗礁に乗り上げようとしているのかもしれない 。
「暗礁」は、海図にない浅瀬のことです。気づかないうちに乗り上げて、船が動けなくなる。動いていたつもりの船が、ふと気づくと、同じ海面のうえで止まっている——そういう情景に、いまのわが家はすこし似ています。沈んだわけではない。ただ、ここから舵をどこへ向ければよいのか、すぐには見えなくなっている。
それでも、明日もまた、ランディは開くと思います。SUUMOも開きます。前に進める確信があるわけではない。けれど、いま手を止めてしまう理由のほうが、私のなかにはまだ見つからないのです。
第1候補からの連絡は、まだ来ません。
📝 まとめ
- 44坪が完全に閉じ、50坪は購入申込あり、神社前33坪は踏み切れない——4ヶ月で4候補のうち実質2つだけが残った
- ランディとSUUMOを再見直しても、見たことある土地ばかり。物件を見すぎて、各物件の輪郭が頭の中でぼやけている
- 妻が送った物件に夫が「週末に現地でも」と前向きに返事。夫もネットで探し始めた
- 夫が見つけた46坪角地・隣の学区——条件は近いが、値段は予算より1,100万円オーバー、建蔽率30%、風致地区
- 「予算オーバー1,100万円」を「悪くないかも」と感じている自分——私たちの基準は4ヶ月のあいだにブレブレに
- 46坪 × 30% = 13.8坪の1階という現実。角地緩和の可能性はあるが、風致地区では適用が縛られる場合がある
- 「不動産業者と一緒に動かないと、ここから先は素人勉強だと限界」——夫も妻も同じことを感じた夜
- 暗礁に乗り上げようとしているのかもしれない。それでも明日もランディは開く——いま手を止めてしまう理由のほうが、まだ見つからない
このブログについて
都市部で土地から注文住宅を建てる40代・4人家族の記録ブログです。賃貸10年の限界を感じた夫婦が、FP面談・住宅ローン事前審査・土地探しのリアルをそのまま書いています。同じように家づくりを考えている方のヒントになれば嬉しいです。
💬 よくある質問
- Q. 角地緩和(建蔽率の+10%)は、どんな土地でも使えますか?
- A. 必ず使えるわけではありません。角地緩和は、各自治体の条例や建築基準法の規定にもとづくもので、適用条件は地域差があります。「2方向の道路の幅員」「敷地と道路の関係」「商業・住居の用途地域」など、複数の要件を満たした角地のみが対象になることが一般的です。さらに、風致地区や景観地区など別の規制エリアに該当している場合は、緩和の扱いそのものが変わることもあります。購入検討段階で、自治体の都市計画担当窓口や、不動産業者を通じた照会で、その敷地で角地緩和が使えるかを必ず確認しましょう。
- Q. 風致地区の土地は、家づくりにどう影響しますか?
- A. 風致地区は、自然景観や緑を守るために指定されたエリアです。各自治体の風致条例により、建物の高さ・色彩・形状、敷地内の緑化率(植栽の確保)などに固有の制限が設けられます。建ぺい率・容積率の数値自体は用途地域で定まりますが、角地緩和などの一般的な緩和規定の扱いが、風致条例で制限されたり、別途の協議が必要になる場合があります。土地の自由度がやや狭まる一方で、 *周辺の景観や緑が守られやすい* というメリットもあります。具体的な制限内容は自治体ごとに違うので、購入前に風致条例を確認することが大切です。
- Q. 4ヶ月探しても土地が決まらず、振り出しに戻った感覚のとき、どう動けばいい?
- A. 振り出しに戻った感覚そのものを、悪い兆候だと決めつけないことが大切だと感じています。4ヶ月歩いたぶん、最初には気づけなかった「自分たちが本当に大事にしたい条件」が見えてきている可能性が高いからです。動き方として有効なのは、(1) 業者の数を増やす、(2) エリアを少し広げて見直す、(3) 自分たちの優先順位を書き出して、いまの感覚で並べ直してみる、の3つ。私たちの場合は (3) で「予算オーバーをどこまで許容できるか」が動いてきていることが見えました。土地探し3ヶ月で見つからない時にやるべき3つのこともあわせてご覧ください。
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