👩 妻のひとこと
土地探しの疲れが溜まってきた頃、スマホに流れてきた本の広告をポチっていました。「照明が人生を変える」という言葉に打ちのめされ、夫は早々にダイニングの照明を決め始めた。まだ土地すら決まっていないのに。でも、そのくらい想像が先走るのが、家づくりの正常な状態なんだと思います。
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家づくりを始めたら、スマホの広告が変わった
振り返ってみると、この本を読んだのは土地探しの真っ只中でした。注文住宅を検討し始めて数か月。土地探し、住宅ローン、工務店選び……。毎日のようにスマホで調べものをしていたら、ある日気づきました。
スマホに表示される広告が、ほぼすべて「家」関連に染まっている。
住宅ローンの比較サイト、キッチンメーカーの新製品、断熱材の性能比較。なるほど、検索履歴に最適化されるとこうなるのか、と妙に感心してしまいました。
そんな広告の中に、ふと目に留まった一冊の本がありました。
『照明と家具からはじめる 北欧インテリア』(行正り香 著、講談社)。
わが家は夫婦そろって北欧好き。夫はデンマークの家具デザイナー、フィン・ユールに惚れ込んでいて、飛騨高山の家具メーカー・キタニが再現したフィンユール邸にまで足を運んだことがある人です(その旅で出会った北欧雑貨についてはこちらの記事に)。家にはチーク製のボウルがあり、北欧家具もいくつか持っています。
そんな夫婦にとって、この本のタイトルはピンポイントで刺さりました。気づいたらポチッと購入していました。
どんな本?——6章構成で「北欧の暮らし方」を丸ごと学べる
読み終えての感想は、期待以上でした。
著者の行正り香さんは、料理家としてだけでなく、インテリアデザイナー、リフォームプランナーとしても活躍されている方です。元デンマーク親善大使でもあり、北欧への渡航歴は30年以上。この本は、そんな行正さんが北欧の「暮らし方」を照明と家具を切り口に解き明かした一冊です。
構成は全6章。照明の基本から始まり、家具の選び方、壁と床の素材、空間づくり、暮らしのつくり方、そして北欧的な考え方まで。タイトルにある「照明と家具」にとどまらず、暮らし全体を北欧の視点で考え直すための本、と言った方が正確かもしれません。
書名:『照明と家具からはじめる 北欧インテリア』
著者:行正り香
出版社:講談社
判型:A5判・192ページ
価格:1,980円(税込)
発売日:2026年4月16日
家づくり中の人に刺さる3つのポイント
インテリアの本はたくさんありますが、この本が「家づくり中の人」にとって特に良いと感じたポイントが3つあります。
①「照明が人生を変える」——目からウロコの照明哲学
冒頭のChapter 1が、いきなり衝撃でした。
著者がコペンハーゲンを訪れた際、ホテルのロビーもカフェも薄暗く、最初は「停電かな?」と思ったというエピソードから始まります。北欧では暗さは不便ではなく、むしろ心地よさを生むもの。日本のように天井の蛍光灯で部屋中を均一に照らすのではなく、複数の照明を低い位置に配置して、光と影のリズムをつくるという考え方が紹介されています。
「PACDR照明」という、光を重ねる北欧式の照明メソッドも解説されていて、これは新居の照明計画を考えるときにそのまま使える知識でした。正直なところ、照明については「明るければいい」くらいにしか考えていなかった私。この章を読んで、照明って、家の印象を決めるくらい大事なものなんだと認識が変わりました。いつか工務店との打ち合わせで「照明はどうしますか?」と聞かれる日が来たとき、この知識があるかないかで、きっと話の深さが違ってくると思います。
👩 妻のひとこと
正直なところ、照明にこだわるという発想が、私にはまったくありませんでした。部屋を明るくしてくれればいい、くらいに思っていた。でも、「暗さは不便じゃなく、心地よさを生む」という章を読んで、少しだけ考えが変わりました。そういえば、暗めのカフェの方が落ち着く気がするな——と。照明って大事なのかもしれない、と思い始めたのは、この本がきっかけです。
②「家具は最後に」じゃなかった
家づくりの打ち合わせでは、間取り→壁の仕上げ→床材→照明……と進んで、家具は引っ越してから考える、という流れが一般的ではないでしょうか。少なくとも、私はそう思っていました。
ところがこの本では、「インテリアは家具から考える」という、真逆のアプローチが提案されています。まず「どんな家具と暮らしたいか」を決めて、それに合わせて照明・壁・床の色やトーンを逆算していく。そうすることで空間に統一感が生まれる、と。
海外では新築やリフォームの際に全体の10〜20%を家具予算にあてるのがスタンダードなのに、日本ではまだ「家具は引っ越してから」という意識が強い——という指摘にも、なるほどと唸りました。椅子研究家の織田憲嗣さんも同じことを言っていて、やはりこの視点は大事なんだなと感じます。
注文住宅を検討中の方は、間取りの打ち合わせが始まる前にこの章を読んでおくと、工務店との会話の解像度が上がると思います。
③写真が豊富で、見ているだけで眼福
そして何より、写真が美しい。
北欧の実際の住空間や、名作家具・名作照明の写真がたくさん掲載されています。夫が大好きなフィンユール邸(飛騨高山でキタニが再現した邸宅)の写真も数多く紹介されていて、ページを開くたびに「これ見て」「これもいい」と夫婦で盛り上がりました。伊礼智設計の平屋を見学したときに感じたのと同じで、建物も家具も、実物を見て初めて分かることがあるとあらためて思います。
ポール・ヘニングセン、アルネ・ヤコブセン、コーア・クリント、アルヴァ・アアルト……。北欧照明・家具デザイナーの紹介ページもあり、名前と代表作をセットで知ることができます。北欧インテリアの入門編としても、図鑑的に楽しめる一冊です。
夫婦で始まった「照明妄想バトル」
この本を読んで、わが家でちょっとした”事件”が起きました。
夫が言い出したのです。「新居のダイニングには、ポール・ヘニングセンのスノーボールを吊るしたい」と。高山のフィンユール邸でも使われている、あの幾何学的なシェードが美しいペンダントライトです。飛騨高山で実物を見て以来、ずっと憧れていたらしい。
対する私の推しは、ヴィルヘルム・ラウリッツェンのラジオハウスペンダント。この本でも紹介されている、コペンハーゲンの国営放送局のためにデザインされた照明です。どこか詩的な雰囲気が好きで、リビングに吊り下げたらどんな空間になるだろう、と想像が膨らみます。
夫「スノーボールの方が光の広がりが綺麗だろ」
私「ラジオハウスペンダントの方が空間に馴染むと思うけど」
こんな会話が、ここ最近のわが家の日常です。
結論は出ていません。というか、まだ土地すら決まっていないのに、照明の話で盛り上がっている時点で、だいぶ気が早い。でも、こういう妄想をするのも、家づくりの楽しみだと思っています。
土地探しがなかなか進まない時期でも、間取りも何も決まっていない段階でも、「こんな暮らしがしたい」というイメージを夫婦で共有しておくことは、きっと後の打ち合わせで役に立つはず。少なくとも、この本はそのきっかけをくれました。
👩 妻のひとこと
スノーボールとラジオハウスペンダント、どちらが正解かは、まだわかりません。というか、土地が決まっていないのに、照明の名前を覚えてしまっている自分に少し笑ってしまいます。でも、こういう妄想が先に進んでいるほど、いざ打ち合わせが始まったときに「どうしましょう」と戸惑わずに済む気がする。悪くない時間の使い方だと、今は思っています。
新居に取り入れたいもの——漆喰と土壁への憧れ
照明以外にも、この本を読んで「これは新居に取り入れたい」と強く思ったものがあります。漆喰や土壁です。
Chapter 3の「壁と床が空間を形づくる」では、壁材の選択肢が丁寧に解説されています。ビニールクロス、紙クロス、布クロス、塗装、そして漆喰や土壁。
特に印象的だったのは、漆喰や土壁が日本の気候風土に適しているという話です。湿気を吸ったり吐いたりしながら室内環境を整えてくれて、光の反射もやわらかく、空間全体に落ち着きをもたらす。著者は、北欧のスタッコ壁に惚れ込んで自分のスタジオの壁と天井をイタリアンスタッコにしたそうですが、日本にも同じような機能と美しさを持つ素材が昔からあった、という視点に感心しました。
わが家の新居では、漆喰か土壁は絶対に取り入れたい。これは夫婦で一致している数少ないポイントのひとつです(照明は揉めていますが)。以前、自然素材のモデルハウスで漆喰の壁を実際に見たときの感触が忘れられず、ますます気持ちが固まっています。
壁材はコストだけで選びがちですが、光の反射の仕方、調湿性能、経年変化の味わいなど、暮らしの質に直結する要素でもあります。工務店との打ち合わせで「壁はクロスでいいですか?」と聞かれたとき、「他にどんな選択肢がありますか?」と聞き返せるだけでも、家づくりの幅が広がります。この本の壁材の章は、そのための予習にぴったりです。
こんな人に、こんなタイミングで読んでほしい
最後に、この本をおすすめしたい人とタイミングをまとめます。
おすすめしたい人:
- 注文住宅やリフォームを検討中で、内装のイメージがまだぼんやりしている人
- 北欧インテリアに興味があるけれど、何から始めたらいいかわからない人
- 工務店との打ち合わせで「照明はどうしますか?」「壁材は?」と聞かれて困りそうな人
- 「家具は引っ越してから考えればいい」と思っている人(考えが変わるかもしれません)
おすすめのタイミング:
- 間取りの打ち合わせが始まる前がベスト。内装や家具の方向性を先に持っておくと、打ち合わせの質が上がります
- 土地探し中で「まだ先の話だけど……」という段階でも(わが家がまさにそうです)、夫婦で読んで「こんな暮らしがしたいね」と話すきっかけになります
192ページとコンパクトで、写真も多いので、さくっと読めるのもありがたいです。
ちなみに、この本を読み終えて「著者の他の本も読んでみたいな」と思っていたら、夫がすでに『行正り香の家作り』をAmazonで注文していました。行動が早い。……少しは節約してくれよ、と思わなくもないですが、家づくりへの熱量が高いのは悪いことではない、ということにしておきます。
まとめ
- 家づくりを始めるとスマホの広告まで家関連に染まる。その中で出会った一冊
- 照明→家具→壁と床→空間→暮らし方→北欧的思考と、インテリアの考え方を体系的に学べる本
- 「照明が人生を変える」「家具から先に考える」など、家づくりの打ち合わせ前に知っておきたい視点が詰まっている
- 名作家具や名作照明の写真が豊富で、見ているだけでも楽しい
- わが家では夫婦で「どの照明を新居に採用するか」で妄想バトル中。こういう妄想も家づくりの楽しみ
- 漆喰・土壁のような日本の気候に合う壁材の紹介もあり、新居に取り入れたいと思えるアイデアが見つかる
- この本をきっかけに、わが家の北欧インテリアへの熱はさらに上がりました。カイ・ボイスンのモンキーやハンス・ボーリングのダック親子についても別の記事で書いていますので、よければあわせてどうぞ。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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- 照明の考え方が変わる——「明るければいい」から「光と影のリズムをつくる」へ
- 「家具は引っ越してから」ではなく、インテリアは家具から逆算して考える
- 漆喰・土壁など日本の気候に合う自然素材の壁材についても学べる
- 工務店との打ち合わせが始まる前に読んでおきたい一冊
- 写真が豊富で、北欧インテリアの図鑑としても楽しめる
📚 シリーズ別まとめ記事(ピラーページ)
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- Q. 『照明と家具からはじめる 北欧インテリア』はどんな人に向いていますか?
- A. 注文住宅やリフォームを検討中で内装のイメージをこれから固めたい方、北欧インテリアが好きで体系的に学びたい方に特におすすめです。照明・家具・壁材・床材の選び方を「北欧の暮らし方」という視点で丁寧に解説しており、工務店との打ち合わせ前の予習としても最適です。
- Q. この本を読む最適なタイミングはいつですか?
- A. 間取りの打ち合わせが始まる前がベストです。「インテリアは家具から逆算して考える」というアプローチを知っておくと、打ち合わせの質が大きく変わります。土地探し中のまだ先が見えない段階でも、夫婦でイメージを共有するきっかけとして活用できます。






