👩 妻のひとこと
今回は、買い物に失敗する気がしませんでした。そのこと自体が珍しいことです。説明書を読んで、モンキーより13年も前にカトラリーがあったと知りました。道具が先で、あの有名なサルが後。その順序が、なんとなく気に入っています。
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モンキーを調べていたら、カトラリーに行き着いた
カイ・ボイスンのモンキーを家に迎えてから、夫はしばらくカイ・ボイスンという人物を調べ続けていました。銀細工師の経歴、木製玩具が生まれた経緯、代表作の数々。読み進めるうちに、カトラリーのシリーズのことが出てきました。
カイ・ボイスンがカトラリーのシリーズを作り上げたのは1938年。モンキーが発表されたのは1951年のことです。つまり、カトラリーの方が13年も先に生まれていたのです。
柳宗理のカトラリーと迷った
カイ・ボイスンのカトラリーを調べていると、必ず並んで出てくる名前があります。工業デザイナーの柳宗理です。
柳宗理のカトラリーには、俗に「柳カーブ」と呼ばれる特徴的な曲線があります。すくいやすく、手に馴染むよう計算されたかたち。一方のカイ・ボイスン グランプリは、曲線よりもまっすぐな印象があります。余分なものをそぎ落としたような、シンプルな直線的デザインです。
どちらが優れているわけではありません。ただ夫は、「シンプルすぎるくらいシンプル」という点を、理由として選びました。欠点のようで、決め手だった。
インターネットで注文した
モンキーは実際に店頭で見て選びました。リサ・ラーソンのヴィンテージも、会場で手に取ってから決めました。今回は違います。
インターネット通販で注文しました。実物を見ずに選ぶのは、家具や雑貨に関しては少し珍しいことです。ただ、カイ・ボイスン グランプリには、長く愛されてきた実績がある。形の情報も、使い手の感想も、豊富に出回っています。今回に関しては、ネットで選んで問題ないと判断しました。
白い箱が届いた

届いたのは、白い箱でした。「KAY BOJESEN」とだけエンボス加工された、飾り気のない白い箱。余計な文字も、派手な意匠もない。

開けると、カトラリーが運搬中にずれていたようで、包材ごと重なり合った状態になっていました。一本ずつ「KAY BOJESEN」の文字が入った包材に包まれています。サービング用のスプーンとフォークだけ、右端に裸のまま置かれていました。
種類ごとにテーブルへ出してみました。

説明書に書いてあったこと
箱の中に、小さな冊子が入っていました。日本語でカイ・ボイスンについて書かれた、薄い説明書です。
Kay Bojesenは1886年生まれのデンマーク人。20歳の頃から4年間にわたりGeorg Jensen(ジョージ・ジェンセン)で働いたのち、コペンハーゲンで銀細工師としての道を歩み始めました。銀細工師である彼が”美術工芸のパイオニア”としての地位を確立させたのは、Monkey(サル)、Elephant(ゾウ)などで有名な木製玩具です。もともと銀細工師である彼は、それらが誕生する10年以上も前にカトラリーシリーズを造り上げていました。
もともとシルバーカトラリーとしてデザインされたこのシリーズは、デンマークの戦時状況下、カトラリーの素材である銀の供給が難しくなった為、当初でも工業デザイン商品の素材としては珍しい「ステンレス」を用いてシルバーカトラリーをもとにデザインされました。このステンレスカトラリーが世界に名を馳せたのは1951年のミラノの国際的なコンテストでのことです。最優秀賞に選ばれた彼のカトラリーはこのときGrand Prixと名付けられました。
発売から50年以上、品質の良さと、人を魅了するシンプルなデザインはデンマークの王室御用達として、各国のデンマーク大使館で、そしてデンマークの人達にだけでなく、北欧をはじめ世界各国で多くの人々に愛され続けているカイ・ボイスンのカトラリーです。
戦時中に銀の調達が難しくなり、ステンレスに切り替えた。そういう事情があって、この形になった。説明書はそう書いています。偶然の産物を、いま毎朝使っています。
実は、日本で作られている
燕市はステンレス加工の産地として知られる、日本有数のものづくりの街。カイ・ボイスン グランプリは1991年から大泉物産の工場で製造されており、現在も世界中に供給されています。デンマークのデザイン、日本の技術——この組み合わせが、70年以上前のグランプリ作品を、今も世界に届け続けています。
手に取ると、自然に持てます。特別な持ち方を要求してこない。マット仕上げは指紋が目立たず、毎日使っても疲れない見た目を保っています。この主張のなさが、たぶん長所です。
📝 まとめ
- カイ・ボイスンのモンキーを調べているうちに、カトラリーの存在を知った。カトラリーはモンキーより13年早く、1938年にデザインされていた
- 柳宗理のカトラリーと比較して迷ったが、シンプルさに引かれてカイ・ボイスン グランプリを選んだ
- インターネット通販で購入。長く愛されてきた実績を根拠に、実物を見ずに注文することにした
- 届いたのは白い箱。カトラリーはKAY BOJESENの包材に一本ずつ包まれており、運搬中にずれて重なり合った状態になっていた
- 付属の説明書には、銀不足から生まれたステンレス採用の経緯、1951年のミラノでのグランプリ受賞が書かれていた
- カイ・ボイスン グランプリは現在、新潟県燕市の大泉物産が世界で唯一の製造元。1991年から製造が続いている
💬 よくある質問
- Q. カイ・ボイスン グランプリはどこで購入できますか?
- A. 大泉物産の公式サイト(kay-bojesen.jp)のほか、Amazonや北欧雑貨を扱うオンラインショップ、インテリアショップなどで購入できます。
- Q. 柳宗理のカトラリーとカイ・ボイスンのカトラリー、どちらがおすすめですか?
- A. どちらも長く愛されてきた優れたカトラリーです。柳宗理は独特の「柳カーブ」が特徴で、カイ・ボイスンはよりシンプルな直線的デザインが特徴です。好みのデザインや使いやすさで選ぶとよいでしょう。
- Q. カイ・ボイスン グランプリはどこで製造されていますか?
- A. 新潟県燕市の大泉物産が世界で唯一の製造元で、1991年から製造を続けています。燕市はステンレス加工で有名な産地です。
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✍️ 筆者より一言
今回は、特別な購入体験ではありません。調べていたら欲しくなって、注文した。それだけです。ただ、説明書で1951年という年号を見たとき、モンキーと同じ年だと気づきました。カトラリーが生まれたのは1938年で、モンキーより13年早い。同じ年に出たわけではない。ただ、1951年にモンキーが世に出たその年、カトラリーはミラノでグランプリをとった。それを知っているのと知らないのとでは、毎朝の食卓がすこし違います。
