👩 妻のひとこと
Yチェアの記事で、夫が1人でハンス・ウェグナー展に行った日の話を少しだけ書きました。今回はその「あの日の続き」の話です。展覧会を見終わったあと、夫は青山の家具屋を1人で巡り、最後にフィンランドのスツールを1脚、買うことに決めて帰ってきました。Yチェアを注文するのはこのあとの年末、実物が我が家に届くのはさらに4ヶ月ほど先、翌年4月下旬のことになります。私は半歩後ろから「まあ、楽しんでいるんだな」と見ていただけのつもりでしたが、1日の終わりには、私もそのスツールをデザインしたアルヴァ・アアルトという名前を、知ることになりました。
前回までのあらすじ
2025年の秋、夫は1脚目の椅子(マルニ木工のHIROSHIMA)を買いました。HIROSHIMA以来、夫の椅子熱は加速していき、椅子の本を読み込み、それでも飽き足らず——2025年12月のある金曜日、夫は1人で東京都渋谷区のハンス・ウェグナー展に出かけていきました。Yチェア記事で書いた「あの日」の話です。
展覧会を見終わったあと、夫はそのまま青山の家具屋を巡り、最後にフィンランドのスツールを1脚、買うことに決めて帰ってきました。実物が我が家に届くのは、その数日あとのことです。Yチェアを注文するのは年末で、実物が我が家に届くのは、その4ヶ月ほど先の翌年4月下旬になります。
土地もまだ決まっていない我が家で、こうしてHIROSHIMAとYチェアの間に、もう1脚、椅子が増えていました。今回はフィンランドの椅子です。
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登場人物:直感派の妻と、調べ始めたら止まらない自営業40代の夫。家づくりの番外編として、家具・インテリア選びの記録をつづります。本編は 第1話 からどうぞ。
1. 逐一報告される、夫の1日
2025年12月、ある冬の金曜日。夫は朝から1人で出かけていました。自営業の夫にとって、平日に1人で動けるのはむしろ好都合な日でした。
行き先は、渋谷ヒカリエホールで12月2日から開催されていた「織田コレクション ハンス・ウェグナー展 至高のクラフツマンシップ」。HIROSHIMAを買って以降、夫がずっと気にしていた展覧会です。Yチェアはまだ我が家にはありません。けれど、椅子の本を読み込み、夫の頭の中ではすでにウェグナーの椅子たちが行き来しているようでした。私は誘われていません。家具の展示に1人で行くほど夢中になっているとは、少し呆れていました。
留守番組の私は、いつものように家事を片づけ始めました。そこに、最初の写真が届いたのです。

暗い展示会場のなか、椅子だけが画面の中で次々と入れ替わっていきます。Y字の背板の椅子、ロッキングチェア、肘掛けが特徴的なアームチェア。そして、私が名前を知らない椅子もたくさん。合間に「いま、●●にいるよ」「次はこっち」と、実況中継が挟まります。
私も、別に暇ではないんだけど。
なんとなく見たことがある椅子もあれば、初めて見る椅子もある。私はそれを、まあ楽しんでいるんだな、程度に思いながら受け取っていました。逐一報告をもらっても、私、あなたほど家具に詳しいわけではないから、ちょっと迷惑かも。とは思いつつ、写真が届けば反射的に開いてしまう自分もいました。

2025年12月2日から2026年1月18日まで、渋谷ヒカリエホール(9F)で開催された、ウェグナー過去最大規模の回顧展。北海道東川町に所蔵されている椅子研究家織田憲嗣氏のコレクションを軸に、椅子約160点とその他家具が一堂に集まりました。会場構成は建築家田根 剛。ウェグナーが17歳の時に手掛けたものの写真資料でしか存在を知られていなかった「ファーストチェア」(1931)の再現復刻が本展で初披露され、3脚しか作られていない1938年作の「セカンドチェア」も再現復刻として展示されました。
2. 「絶対に買わないでよ」——120万5600円のリンク
そんな写真の連投の中に、ある時、1本のリンクが紛れていました。
「ハンス・ウェグナー展特別モデル PPモブラー503 THE CHAIR」
写真ではなく、URLが直接送られてきたのです。家具の展示を眺めて満足するのではなく、買えるかもしれない椅子のページを開いている。私は嫌な予感がして、リンクをタップしました。
展覧会特別モデル
限定10脚
1,205,600円
数字が、目に飛び込んできました。
私は急いで夫に電話をかけました。
「絶対に買わないでよ」
「さすがに買わないよ。限定10脚なんだって。ケネディ大統領も座ったことのある有名な椅子らしいよ」
夫の声は、暢気でした。
リンクを送ってきておいて、「さすがに買わない」と言われても、こっちは送られた瞬間に120万円の買い物に立ち会わされた気分です。買うつもりがないなら、誤解させるリンクを送らないで欲しい。

THE CHAIRは、デンマークのデザイナーハンス・J・ウェグナーによる椅子です。籐の座面のPP501が1949年、布張り座面のPP503が1950年に発表されました。当初はヨハネス・ハンセン社(JH501/JH503)で製造され、現在はPPモブラー社が引き継いで製造しています。1960年のアメリカ大統領選テレビ討論会でジョン・F・ケネディとリチャード・ニクソンが座ったことで世界的に有名になり、あまりに名作すぎて「The Chair」と呼ばれるようになった、というエピソードがあります。
👩 妻のひとこと
電話を切ったあと、私はしばらく台所で固まっていました。「さすがに買わない」と言われたものの、夫の声色には「でも本当はちょっと欲しい」が薄く混ざっていた気がするのです。15年も一緒にいると、声の濃淡で本音がわかるようになってしまう。
3. 青山、家具屋を巡る一日
ウェグナー展を見終わった夫は、そのまま青山へ移動したようです。家具屋を巡るプランを最初から組んでいたらしく、その日の午後は南青山と表参道のあいだを徒歩で行ったり来たりしていたようです。
写真と実況中継は止みません。
「いま、カール・ハンセン&サンにいるよ」
「次はフリッツ・ハンセン」
「アクタスにも入ってきた」
カール・ハンセン&サンはYチェアのメーカー、フリッツ・ハンセンはセブンチェアやエッグチェアのメーカー、アクタスは北欧家具を集めたセレクトショップ。HIROSHIMA以来、夫の口から繰り返し聞かされていたメーカーの名前を、私は頭の中で順になぞりながら、写真を眺めていました。Yチェアが我が家にやってくるのは、半年近く先のこと。年末に家族で大阪のカール・ハンセン&サンへ向かい注文するのですが、その日の話は、Yチェア記事に書いたとおりです。
東京・南青山〜表参道一帯は、北欧・イタリア・日本の家具メーカー直営店やインテリアショップが集中するエリアです。カール・ハンセン&サン青山店、フリッツ・ハンセン青山ストア、アクタス青山店、後述のルイスポールセン青山旗艦店、アルテック東京ストアなどが徒歩圏内にあり、1日でデニッシュモダンとフィンランド・モダンを横断的に体感できます。
写真の中の椅子は、1脚ずつ違って見えました。木の色味、座面の素材、脚の角度。同じ「北欧の椅子」と一括りにしていたけれど、よく見るとそれぞれに表情がある。夫がここまで深掘りしていく理由が、少しだけ理解できる気がしました。
4. ルイスポールセンの扉の前で立ちすくむ
途中で、こんな報告が来ました。
「ルイスポールセンの前まで来たけど、1人では緊張して入れなかった」
私は、しばらく画面を見つめてから、声に出して笑ってしまいました。
120万円の限定モデルに目を輝かせていた人と、照明屋の扉の前で立ちすくむ人が、同じ人物だなんて。あれだけ熱量を持って椅子を語れる夫が、たった1枚の自動扉の前で「1人だから」という理由で引き返す。凝り性のはずなのに、社交的な勇気は、たぶん、そこまで持ち合わせていないのです。
👩 妻のひとこと
ルイスポールセンの報告を読んで、私はふと思ったのです。この人、どこを目指しているのかな、と。朝から椅子の写真を送り続け、120万円の限定モデルにときめき、青山を歩き回り、扉の前で立ちすくむ。1日の動きに目的があるようにも、無いようにも見えました。
5. アルテック東京、最後の電話
家具屋を4軒巡った夫が、最後に向かったのはアルテック東京でした。アルテックは、フィンランドの家具メーカー。建築家のアアルト夫妻——アルヴァと、同じく建築家・デザイナーのアイノ——を中心に、1935年に設立された会社です。
——という説明が、私の頭に入ったのは、この日の終わりのことです。この瞬間まで、私はアルテックという名前を、ほぼ知らないも同然でした。家にHIROSHIMAはあるけれど、それも夫が連れてきたのであって、私自身が家具メーカーの背景まで追っていたわけではないからです。
そして、その夕方、最後の電話がかかってきました。
「これを買おうと考えているのだけど、どうかな」
一応確認してくれるのは嬉しい。でも、あなたどうせ、言うこと聞かないよね。
値段を聞くと、5万3900円。
いや、高いって。そもそも、生まれてからこれまで、スツールに座ったことないし。
——口ではそう言いながら、それでも「絶対に無理」と言い切れない自分が、どこかにいることに気づいていました。家づくりを意識しはじめた頃から、私の金銭感覚は、少しずつ変わってきていたのかもしれません。
アルヴァ・アアルト(1898–1976)は、フィンランドを代表する建築家・デザイナー。建築では「マイレア邸」「ヴィープリの図書館」「フィンランディア・ホール」などの名作を残し、家具では曲げ木による革新的な椅子・スツールを多く生み出しました。1935年、建築家・デザイナーの妻アイノ、美術史家・批評家ニルス=グスタフ・ハール、画家マイレ・グリクセンとともにアルテックを共同設立。「アート」と「テクノロジー」の融合を社名の由来としています。
6. 結婚15年と、来ない友達
電話の向こうで、夫は早くも「買う前提」で話を進めていました。
「スツールなんて、どこに置くの?」
「そこまで大きくないから、普段はリビングの片隅に置いておいて、友達が来たときに座ってもらえばよいのでは?」
「私、あなたと結婚して、15年以上が経つけど、あなたの友達が家に来たのを見たことがないけど」
夫は黙りました。それでも、電話の向こうで柄に悩んでいる気配がします。座面の柄が何種類かあるらしくて、「どの色がよいかな」とつぶやいているのが受話器越しに聞こえてくる。
いや、もう購入する前提じゃん。
7. 90周年限定、という言葉
そして、ひと押しが来ました。
「アルテック創業90周年の商品だから、今しか買えないみたいだよ」
ああ、また「限定」が出てきた。
👩 妻のひとこと
夫が「これは買いたい」と言うとき、横についてくる言葉はだいたい決まっています。「限定」「特別」「歴史」。THE CHAIRなら「限定10脚・ケネディが座った椅子」、スツール60キヴェットなら「アルテック創業90周年・マリメッコとのコラボ」。聞かされるうちに、私の頭にも「特別感」がじわじわ積もっていきます。けれど、限定と言われて全部買っていたら、お金がいくらあっても足りません。私は心の中で何度もこの一行を呟いていました。
スツール60は、アアルトが1933年にデザインしたフィンランド家具の代表作。バーチ材の「L-レッグ」と呼ばれる曲げ木の脚3本に、丸い座面が乗っただけの極めてシンプルな構造で、約90年間、ほぼ同じ形のまま作り続けられています。スツール60キヴェットは、アルテック創業90周年を記念して、フィンランドのマリメッコとのコラボレーションから生まれた特別仕様。マリメッコの代表的なデザイナーマイヤ・イソラが1956年に発表したパターン「Kivet(石)」を、座面の突板に象嵌(ぞうがん)という伝統技法で表現しています。木片を切り抜いて別の木片にはめ込むことで、塗装やプリントに頼らない、木そのものの色味で「石」の模様が浮かび上がるしくみです。
8. アルヴァ・アアルトという名前を、覚えた
私は、ふと、考えるのをやめました。
電話の向こうで、夫はもう柄を選んでいます。何種類かある座面の柄を、真剣に、楽しそうに、迷っている声。これ以上反対する気力は、もう残っていませんでした。
夫は、早口で何か説明していました。アルヴァ・アアルト、フィンランド、L字の脚、マリメッコ、創業90周年——。アルテックの店員さんから聞いたのであろう固有名詞が、電話越しにいくつも並んでいきます。夫もたぶん、その日に初めて知った言葉を、そのまま私に流していたのだと思います。
私は、半分も聞いていなかったかもしれません。
それでも、アルヴァ・アアルトという名前は、そのとき覚えました。
「気をつけて帰ってきてね」
そう言って、電話を切りました。
9. 配送、電動ドリル、そして自宅の片隅
スツールは、後日、配送で家に届きました。
当日その場で持ち帰ることもできたらしいのですが、自宅で電動ドリルを使って組み立てる自信がなかった、というのが配送を選んだ理由でした。確かに、うちには電動工具もありません。組み立てに失敗してせっかくの一脚を傷めてしまったら、と思えば、慎重に配送を選んだ気持ちも、分かるような気がしました。お店で組み立ててもらって、完成した状態で送ってもらえるとのことで、夫はそのお願いをしたそうです。
数日後、玄関に届いた箱を開けると、組み上がったスツールが現れました。座面の突板には、石模様がはっきりと象嵌されています。プリントではなく、木の色の違いで模様が浮かんでいる。光の当たる角度で、模様の輪郭が静かに変わるのが、面白かったです。
思っていたよりも軽くて、思っていたよりも背が低い椅子でした。

そして、いま、その上には、イケアのきのこ型の照明が載っています。
夫が言った通り、「友達が来たときに座ってもらえばよい」場所——リビングの片隅——に置かれています。そして、案の定、友達は来ていません。アルヴァ・アアルトが1933年にデザインした一脚の上で、イケアの灯りが、毎晩静かに灯っている。
振り返ると、夫が反応したのも、私が一瞬「無理」と言い切れなかったのも、結局のところ「いま買わないと買えない」という言葉が効いていた気がします。スツール60の通常版は今もちゃんと作られていて、マリメッコの石模様だって別の形でいくつもある。それでも「90周年」と並ぶだけで、選択肢が急に狭く見えてしまう——私たちはたぶん、そういう種類の言葉に弱いのだと思います。
- 2025年12月のある金曜日、夫は1人でハンス・ウェグナー展に行き、その日のうちに青山の家具屋を4軒巡って、最後にアルテック東京でスツール60キヴェットを購入した
- 道中、120万5600円のTHE CHAIR(PP503)のリンクが妻に送られ、「絶対に買わないでよ」「さすがに買わないよ」の電話が交わされた
- ルイスポールセンの扉の前で、1人では緊張して入れなかった夫の挿話が、人物像を立ち上げる
- アルテック東京から「これを買おうと考えているのだけど、どうかな」の電話。値段は5万3900円、アルテック創業90周年×マリメッコ・コラボの限定モデル
- 「友達が来たときに」「結婚15年、友達が家に来たのを見たことがない」「限定で全部買えない」の応酬を経て、妻は「気をつけて帰ってきてね」で電話を切った
- スツールはショップで組み立てて配送、いまは自宅の片隅でイケアのきのこ型の照明を載せている。アルヴァ・アアルト1933年デザインの上で、イケアの灯りが静かに灯っている
📌 家具選びを考えている方へ:「限定」「●●周年」「コラボ」という言葉に、買い物のスイッチが入りやすい家庭ほど、購入前に「いま買わないと一生後悔するか」を一度立ち止まって考えるとよさそうです。我が家のキヴェットも、そういう余白を持って付き合っています。
よくある質問(FAQ)
スツール60キヴェットはどこで買えますか?
アルテックの直営店(東京・表参道のアルテック東京ストア)、正規取扱店、またはアルテック公式オンラインストアで取り扱われています。ただし、アルテック創業90周年を記念した数量限定の特別仕様のため、店舗在庫が尽き次第販売は終了し、追加生産も予定されていません。マリメッコ×アルテックの90周年コレクションでは、マイヤ・イソラの3つのパターン(Kivet=石/Lokki=カモメ/Seireeni=セイレーン)が展開されていますが、いずれも台数限定です。検討される方は早めに、最新の在庫状況をアルテックの公式情報でご確認ください。
通常版のスツール60との違いは?
構造(バーチ材のL-レッグ3本+丸座面)はまったく同じです。違いは座面の仕上げで、キヴェット仕様は座面の突板に象嵌(ぞうがん)技法でマリメッコの「Kivet(石)」パターンを表現しています。プリントではなく、異なる木目の木片を組み合わせて模様を表現しているため、塗装の経年劣化が起きないのが特徴です。
組み立ては難しいですか?
アルテックでは、座面と3本の脚を自分でネジ留めする持ち帰りスタイルと、店舗で組み立てた完成品を配送してもらうスタイルが選べます。我が家は後者を選んだので、自宅での組み立て作業はありませんでした。自分で組み立てる場合、構造はシンプルですが、座面と脚の接合部に体重が集中するので、ぐらつきがないか時々確認するのがおすすめです。
子どもや高齢者でも使えますか?
スツール60の座面高さは約44cmで、ちょっと腰掛けるのにちょうどよい高さです。背もたれがないので、メインの椅子として長時間座るというより、来客時の補助椅子・サイドテーブル・小物の置き台など、多用途に使うのが向いています。子どもがちょっと座る、観葉植物を載せる、本を積む、照明を載せる——使い方は家庭によってさまざまです。なお、3本脚で重心が偏ると傾きやすい構造のため、踏み台として上に立つ用途には向きません。
今からでもキヴェット仕様は買えますか?
90周年記念モデルは数量限定での展開だったため、店舗在庫の状況によっては入手が難しくなっている可能性があります。最新の取り扱い状況はアルテックの公式情報をご確認ください。
🪑 おしゃれな北欧家具・デザイナーズ家具を見るなら
こだわりの椅子・テーブル・収納まで、選び抜かれた家具がそろう CAGUUU。本物の家具に囲まれる暮らしを。
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- 「限定」「●●周年」のキーワードに注意:希少性の言葉は購買スイッチを押しやすい。実物を見て、実際に必要かどうかを冷静に判断する余白を持ちたい
- 試座と実用シーンの想定:スツール60は背もたれのない椅子。メインの椅子に据えるよりも、来客時の補助椅子・サイドテーブル・小物の置き台など、サブ的な役割を想定して選ぶのが現実的(3本脚のため踏み台用途には不向き)
- 木目の表情を確認する:象嵌仕様は1脚ごとに微妙に模様が異なる。ショールームで複数の個体を比較できる場合は、自分の好みの表情を選びたい
📚 この記事に登場した書籍
スツール60の背景、L-レッグの開発過程、アルテック設立のエピソードなど、家具の背後にある物語を追いたい方には、次のような書籍が手がかりになります。
- 小泉隆『アルヴァ・アアルトのインテリア:建築と調和する家具・プロダクトのデザイン』(学芸出版社)——椅子・木製家具・照明・ガラス器など、Aaltoの家具プロダクト全般を建築との関係から読み解く一冊
- 齋藤裕『AALTO: 10 Selected Houses アールトの住宅』(TOTO出版)——Aaltoの代表的な住宅作品10邸を写真と図面で紹介
※書籍の最新の取扱い・価格はオンライン書店等でご確認ください。
電話を切ったあと、私は「気をつけて帰ってきてね」の一言が、その日の自分なりの返事だったのだと、後から気づきました。買うこと自体には、もう反対しきれていませんでした。でも、その椅子のことは、夜になって帰ってきた夫の話を聞きながら、ゆっくり「我が家のもの」になっていきました。アルヴァ・アアルトという名前を覚えたのは、その夜のことです。家を建てる前に、椅子のひとつを家に迎え入れる。順番としては逆かもしれないけれど、もしかしたら、これがいちばん私たちらしい順番なのかもしれない、と最近は思っています。
次回の番外編は、北欧フェアで夫がひとりで買ってきたリサ・ラーソンのヴィンテージのネコ。53,000円と聞くまでの一部始終を書きます。
📚 シリーズ別まとめ記事(ピラーページ)
家づくりの全テーマを5つの総合ガイドにまとめています。気になるテーマから読み進めてください。

