👩 妻のひとこと
地方銀行の事前審査は、満額で通っていました。だから、もっと金利の安いJAも、通って当然——そう思っていました。仕事中の夫の携帯に、JAから電話が入るまでは。「減額回答です」。希望より、三千万円も少ない額でした。
📖 前回までのあらすじ
前話で、金利の安いJAで借りたくて、もう一つ事前審査を申し込みました。夫は四十代の後半で、がん団信は付けたい。それを含めると、すでに事前審査が通っている地方銀行は1.3%、JAは0.98%。その差に惹かれて、動いたのでした。結果は一週間ほどで出る、とのこと。地方銀行は満額で通っている。だから、気持ちのどこかで、安心していました。その、審査結果の話です。
「通って当然」と思っていた
正直に言えば、落ちるとは、みじんも思っていませんでした。
地方銀行の事前審査は、希望した満額で通っています。同じ年収、同じ家族で、もう一つ、審査を出すだけ。地銀が通ったのだから、JAが通らない理由がない——そう高をくくっていました。
気になっていたのは、通るかどうかより、金利のほうでした。地銀はがん団信まで入れて1.3%、JAは0.98%。同じ額を借りても、返し終えるまでの総額が、何百万円も違ってきます。その差を、私は電卓で、何度もはじいていました。
いま思えば、ただの油断でした。
仕事中の、一本の電話
申込みから、五日後。思っていたより早く、答えは来ました。仕事中の夫の携帯に、JAから電話が入ったのです。
そのやりとりは、あとで夫から聞きました。担当の方は、こう切り出したそうです。「審査の結果、(希望より三千万円ほど少ない)金額での、減額回答となりました。どうされますか」。
減額回答。私には、初めて聞く言葉でした。落ちた、のではありません。でも、望んだ額には、まったく届かない。三千万円も足りなければ、思い描いていた家は、建ちません。
65歳という、見えない線
夫が、聞きました。どうしてですか、と。
答えは、こうでした。収入そのものに、問題はない。ただ、保証会社が、「収入が続くのは65歳まで」という前提で審査をした。だから、この額になった、と。
夫は、自営業です。会社員のような定年は、ありません。それでも、審査のうえでは、65歳で線を引かれました。ローンは79歳まで借りられても、79歳まで稼げる前提で見てくれるわけではない。65歳から先は、収入がないものとして計算される。その分だけ、借りられる額が、削られる。
定年のない働き方でも、こうなるのか、と思いました。四十代の後半という年齢を考えれば、その線引きも、一つの理屈ではあります。理屈ではあるのですが——同じ我が家に、地方銀行は満額を出していました。金融機関が違うだけで、こうも変わるのか、と。
メールでも、正式に
電話の最後に、担当の方が言い添えたそうです。この電話だけでよろしいですか、メールでもお送りしましょうか、と。夫は、一応、メールでも、と頼みました。
届いたのは、数行のメールでした。減額回答の金額と、その保証料。そして最後に、一行——「お預かりした資料は、こちらで破棄させていただきます」。
減額回答に、こちらから言い返す余地はありません。資料は破棄します、とあります。JAで借りるという選択肢は、この数行のメールで消えました。
金融機関で、こんなに違うのか
いちばん驚いたのは、そこでした。
同じ年収、同じ家族、同じ暮らし。なのに、地方銀行は満額で、JAは三千万円も少ない。金融機関が違うだけで、借りられる額が、これほど変わる。
知りませんでした。事前審査に「通った」というのは、金額まで含めて通った、という意味だと思っていた。でも、通り方には、幅がある。金額が伴わなければ、通っても、意味がないのでした。
それで、どうするか
その晩、夫から相談されました。
もう、何行も金融機関を回るのは、正直しんどい。書類を集めて、窓口に座って、また同じ説明をして——それを一から繰り返す気力は、お互い、残っていませんでした。いま満額で通っている地方銀行(がん団信を含めて1.3%)で、話を進めようと思う。どうか、と。
私も、ショックは受けていました。0.98%は、惜しい。惜しいけれど、より安い金利を求めて、また何行も回り直す時間は、もうありません。物件は決まっている。売買契約も、決済も、そう先ではない。ここで金利のために振り出しへ戻るのは、現実に合わない。
少し考えて、私も同じ答えでした。地方銀行で、進める。
売買契約は、これからです。そのとき、融資を受ける銀行の欄に、この地方銀行の名前を書くことになります。0.98%を求めて動いた数週間は、結局、いちばん最初に事前審査を出した、その地方銀行へ、そっくり戻ってきただけでした。
回り道で、分かったこと
遠回りでした。でも、分かったことも、いくつかあります。
一つ。もし少しでも有利な金利で借りたいなら、物件を決める前に、いくつかの金融機関で事前審査を通しておいたほうがいい。物件が決まってからでは、契約や決済までの時間が、思ったより短い。腰を据えて選ぶ余裕は、あまりないのです。——ただし、数は絞って。あまり多くの金融機関に一度に申し込むと、それはそれで審査に響くことがあると、あとで知りました。
もう一つ。年齢のこと。金融機関によっては、65歳を境に、そこから先は収入がない前提で審査されることがあります。夫は、四十代の後半。もし家を建てるつもりがあるなら、年齢は、早いほうが有利なのかもしれません。
——どちらも、あとになって、思うことばかりです。
📝 まとめ
- 地方銀行の事前審査は満額で通っていたので、金利の安いJA(がん団信込みで0.98%)も通って当然だと思い込んでいた。がん団信まで含めると、地方銀行は1.3%、JAは0.98%で、その差は小さくなかった
- 申込みから5日、仕事中の夫にJAから電話。「減額回答」で、希望より3000万円ほど少ない金額。理由は、収入自体は問題ないが、保証会社が「収入が続くのは65歳まで」を前提に審査したため(夫は自営業で定年はないが、審査上は65歳で線引きされた)
- ローンは79歳まで借りられても、79歳まで収入が続く前提で見てくれるわけではない。65歳から先は収入がない前提で計算され、その分だけ借入可能額が削られる
- 後日メールでも正式連絡。減額回答の金額と保証料、そして「資料は破棄します」の一文。金融機関が違うだけで、地方銀行は満額・JAは3000万円少ないという差に驚いた
- 夫から「何行も回るのは面倒。満額で通っている地方銀行(がん団信込みで1.3%)で進めたい」と相談。妻も、金利のために回り直す余裕はなく(物件は決定済み・契約と決済まで時間がない)、考えたうえで同じ結論に。地方銀行で進めることに決めた(売買契約はこれから)
- 反省点は、二つ。①有利な金利を狙うなら物件を決める前に複数の事前審査を通しておく(意外と時間がない)②40代後半だと65歳前提で減額されることがあり、建てるなら年齢は早いほうが有利かもしれない
このブログについて
都市部で土地から注文住宅を建てる40代・4人家族の記録ブログです。賃貸10年の限界を感じた夫婦が、FP面談・住宅ローン事前審査・土地探しのリアルをそのまま書いています。同じように家づくりを考えている方のヒントになれば嬉しいです。
💬 よくある質問
- Q. 事前審査の「減額回答」とは何ですか?
- A. 申し込んだ金額そのままではなく、金融機関が「この額までなら融資できる」と、減らした金額で回答することです。否決(落ちること)とは違い、審査そのものは通っていますが、希望額には届きません。希望額を前提に家の計画を立てていた場合、その金額では計画が成り立たないこともあります。事前審査は「通ったかどうか」だけでなく、「いくらで通ったか」まで確認することが大切です。
- Q. 同じ年収でも、金融機関によって借りられる額が違うのはなぜですか?
- A. 住宅ローンの審査は、多くの場合、金融機関が提携する保証会社がおこない、その考え方は保証会社ごとに異なります。とくに「収入が何歳まで続く前提か」で、借りられる額は大きく変わります。定年を意識して65歳までを前提にする場合と、より長い期間を見る場合とで、返済に回せると判断される金額が違ってくるためです。同じ人・同じ年収でも、金融機関によって結果が変わることがあります。
- Q. ローンは79歳まで借りられるのに、なぜ65歳を前提に審査されるのですか?
- A. 「何歳まで借りられるか(完済年齢)」と、「何歳まで収入が続く前提で審査するか」は、別の話です。完済年齢が79歳でも、審査のうえでは「収入があるのは65歳まで」と見て、それ以降は年金などの範囲で無理なく返せるかを計算する、という考え方があります。この前提が厳しいほど、借りられる額は少なくなります。
- Q. 事前審査は複数の金融機関で受けてよいのですか? いつ受けるのがよいですか?
- A. 複数の金融機関で事前審査を受けること自体は、一般的におこなわれています。条件を比べたり、減額や否決に備えたりするためです。タイミングとしては、物件を決めてからだと、契約や決済までの時間が短く、ゆっくり比較する余裕がないことがあります。可能であれば、物件が決まる前の段階から、いくつか通しておくと、選択肢を持ったまま進めやすくなります。ただし、数については注意点もあります(次の項目)。
- Q. たくさんの金融機関に、事前審査を申し込んでも大丈夫ですか?
- A. いくつかを比べるのは一般的ですが、短い期間に、あまり多くの金融機関へ申し込むのは避けたほうが無難だと言われます。住宅ローンの事前審査でも、多くの場合、信用情報機関に「申し込んだ」という記録(照会の記録)が残ります。短期間にその記録がいくつも並ぶと、あとから審査する金融機関に「あちこちに申し込んでいる(何か事情があるのかもしれない)」と受け取られ、かえって不利に働くことがあるそうです。数は絞って、本命と、いくつかの候補にとどめておくのが安心です。
- Q. 年齢が上がると、住宅ローンは不利になりますか?
- A. 一概には言えませんが、年齢が上がるほど、借入期間を長く取りにくくなったり、審査で「収入が続く期間」を短く見られたりして、借りられる額や条件に影響することがあります。団体信用生命保険に加入できる年齢の上限もあります。家を建てる予定があるなら、資金計画は早めに考えておくと、選択肢が広がりやすいといえます。
※この記事について:我が家の家づくりの体験記録です。金利・審査・団信などの内容は、令和8年時点で私たちが各金融機関から提示・説明を受けた内容にもとづきます。最新の一般的な情報や、住宅ローンの助言ではありません。審査の基準や結果は、金融機関・保証会社・お住まいの地域・時期・個々の状況によって異なりますので、詳しくは各金融機関の窓口でご確認ください。
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