👩 妻のひとこと
土地は、買えそうです。ところが、ひとつ心配が消えると、すぐに次の心配が顔を出す。今度は、住宅ローンをどこで組むか、でした。いま事前審査が通っているのは、工務店が紹介してくれた地方銀行。でも、調べていくと、もっと金利の低いところがありました。JAです。変動で0.98%。——ただ、うまい話には、たいてい但し書きがついています。
📖 前回までのあらすじ
前話で、競合が二人いるなか、事前審査を通していることを仲介業者が推してくれて、売り主側から「購入できると思う」と返事がありました。売り主は、隣の土地の所有者。手付金の額は、まだ決まっていません。土地は、買える見込みになりました。その続きです。
契約が、近づいてきた
土地を買える見込みになった、と連絡がありました。仲介業者からは、近いうちに売買契約を結びましょう、と。
喜ぶより先に、宿題が増えた気がしました。手付金の額も、まだ気がかりです。でも、いま一番の気がかりは、そこではありません。住宅ローンを、どこで組むか。肝心のそこが、まだ決まっていませんでした。
いま通っているのは、地方銀行
事前審査が通っているのは、工務店が紹介してくれた地方銀行です。条件は、こうでした。
令和8年7月の時点で、変動金利1.15%。夫は40歳を超えているので、がんと診断されたらローンが完済される「がん団信」をつけるのに、金利が0.15%上乗せになります。
変動金利は、年に二回、見直しがあるそうです。先ごろの日銀の利上げを受けて、十月にはさらに0.25%上がる予定だと聞きました。まだ決めてもいないのに、数字のほうがじわじわ動いていく。少し、急かされている気分でした。
もっと有利に組めないか。そう思って調べると、いちばん金利の安いネット銀行は、注文住宅では使えないことが多いと分かりました。土地を先に買って、建物はあとから建てる——その二段構えに、対応していないところが多いのです。いちばん安い席は、どうやら、私たちのためには空いていませんでした。
工務店に、聞いてみた
夫が、工務店の担当者に聞きました。ほかに紹介できる金融機関はありませんか、と。
返ってきたのは、こういう答えでした。うちのお客さんは、JAで住宅ローンを組む方が多いです。ただ、JAをこちらから紹介することはできないので、ご自身で申し込んでください、と。
教えてはくれるけれど、案内はしてくれない。ヒントだけ置いて、あとはご自分で、というわけです。その置きみやげを、手がかりにしました。
仲介業者に、確認した
地方銀行のほかに、JAにも事前審査を申し込んでいいか。夫が、仲介業者に確認しました。
もちろん問題ありません、と。ただ、と続きました。案の定、ここにも但し書きです。
売買の話を前に進めるために、売買契約書には、事前審査を申し込んだ金融機関として、いまの地方銀行を書きたい。決済までのあいだにJAの審査を通して、JAで借りてもらってかまわない、と。
ただし、と。ここが、大事なところでした。
その、契約書に地方銀行を書く、というところに、条件がついていました。
もし、地方銀行とJAの両方の審査が通れば、条件のいいJAで借りて進めればいい。
でも、もしJAの審査が通らず、地方銀行だけが通ったら——そのときは、地方銀行で進めることになる。JAがだめだったことを理由に、契約を白紙に戻すことはできない、と。
融資特約というのは、契約書に書いた金融機関の住宅ローンが通らなかったときに、買主が違約金なしで契約を白紙に戻せて、手付金も返ってくる、という備えです。裏を返せば、契約書に書いた地方銀行さえ通ってしまえば、たとえJAがだめでも、この特約では抜けられない。JAで借りるつもりでいても、地方銀行が通っているかぎり、地方銀行で進めるしかない。融資特約は、そもそも「お金を借りられないとき」のための逃げ道。借りられてしまえば、その逃げ道は要らない——という理屈でした。
JAを、調べた
夫が、JAの連絡先を調べました。休日にも、ローンの相談会をやっているようです。
住宅ローンの金利は、変動で0.98%。一般の団信も、がん団信も込みで、と書いてありました。地方銀行より、だいぶ有利に見えます。
電話で、相談を予約しました。確定申告書の控えが手元にないと伝えると、役所で所得証明書をもらってくれれば大丈夫です、と。
ここまで、電話も調べものも、ぜんぶ夫です。私はというと、隣で相づちを打ちながら、条件の表とにらめっこ。役割分担、ということにしておきます。
土曜日、JAの本店へ
次の土曜日、夫と二人で、JAの本店を訪ねました。土日にも開いている窓口は、それだけで少し親切に感じます。
持って行ったのは、本人確認の書類、直近の収入がわかるもの、それに土地の契約や資金計画にかかわる書類。言われたとおりに、そろえた——つもりでした。
実際に、広告に書かれていた条件で借りられそうでした。その場で、事前審査の申込書を書きました。
JAの説明で、分かったこと
担当の方の説明で、いくつか、分かったことがありました。
変動金利は0.98%。ただし、この先もし金利が下がっても、0.98%より下にはならない、とのことでした。「下限」が決まっている、ということです。
がん団信は、金利の上乗せなしでつけられる。地方銀行では0.15%の上乗せだったので、これは、ちょっと嬉しい差です。
団信は、健康診断ではなく、告知だけでよいそうです。夫は、しばらく健康診断から足が遠のいていました。あらためて検査を受け直さなくても、告知だけで保障がつく。それは、正直、ありがたい話でした。
それから、注文住宅のローンの、仕組みの話。土地を買うお金と、建物を建てるお金は、別々の契約になるそうです。金銭消費貸借契約、というものを、二本、結ぶ。
気持ちよく数字の話を聞いていたら、担当の方が、さらりと、こわい話を挟んできました。土地を買ったあと、建物の請負契約を結ぶまでのあいだに、もし収入の状況が悪くなったり、健康を崩したりすると、建物のローンが下りないことがある。そうなると、土地だけが残って、最悪、土地を売って一括で返す、ということにもなりかねない、と。
土地は買えたのに、家が建てられない。そんなことが、あるのか。正直、こわい気もしました。
借りられるのは、79歳まで、とのことでした。ずいぶん先に聞こえて、でも逆算すると、そんなに悠長な話でもありません。
そして、「留保金」という仕組みの説明も、ありました。
さっきの、二本立ての話とつながります。注文住宅では、着工のとき、上棟のときと、建物が仕上がる前に、まとまったお金を何度か払うことになります。でも、住宅ローンのお金が実際に下りるのは、ふつう、家が完成してから。この時間のズレを埋めるために、多くの銀行では「つなぎ融資」という、別の短いローンを使います。金利は、住宅ローンより高めです。
JAの留保金制度は、そこが違うそうです。借りる総額のうち、まだ受け取っていない残りを、JAが預かっておく。そして、着工・上棟と、必要なタイミングで少しずつ受け取れる。この預かってある残りが、「留保金」。つなぎ融資を使わずに、住宅ローンの金利のまま、工事の途中のお金をまかなえる、という説明でした。
ありがたい仕組みに聞こえます。ただ、返済がいつから始まるのか、工事のあいだ、いまの家賃と返済が重なる時期はないか——そのあたりは、しっかり確かめておかないと、とも思いました。
事前審査を、申し込んだ
金利が有利なら、こちらで借りたい。そう思って、JAにも事前審査を申し込みました。
そのうえ、肝心の書類でしくじりました。マイナポータルで取っておいた医療保険の資格情報を、うっかり家に忘れて。気合いを入れて出てきたのに、いちばん大事なものが、家で留守番。取りに戻る、というひと幕つきです。
結果は、一週間ほどで出るそうです。地方銀行と、JAと。答え合わせを二つ抱えたまま、私たちは、売買契約の日に向かいます。どうか、安いほうで借りられますように——と、願いながら。
📝 まとめ
- 土地は買える見込みになり、仲介業者から近く売買契約を結ぼうと言われた。手付金の額も気がかりだが、一番の心配は住宅ローンをどこで組むか
- いま事前審査が通っているのは工務店紹介の地方銀行(令和8年7月時点・変動1.15%、40歳超でがん団信+0.15%、年2回見直しで日銀利上げを受け10月に+0.25%予定)。金利の低いネット銀行は、土地先行・建物後という注文住宅の二段構えに対応せず使えないことが多いと分かった
- 工務店に相談すると「お客さんはJAが多い。ただ紹介はできないので自分で申し込んで」との回答。夫が調べると、JAは変動0.98%(一般・がん団信込み)で地銀より有利
- 仲介業者は、地銀以外にJAへ事前審査を出すのはOK。ただし売買契約書には融資特約の金融機関として地銀を記載する。両方通ればJAで借りればよいが、JAが落ちて地銀が通った場合は地銀で進めるしかなく、JAが落ちたことを理由に融資特約で白紙にはできない、と説明された
- 土曜にJA本店へ。がん団信は金利上乗せなし、団信は告知のみ。変動0.98%には下限がある。注文住宅は土地と建物で2本の金銭消費貸借契約になり、土地購入後に信用・健康が悪化すると建物融資が下りず、土地売却・一括返済のリスクもある。79歳まで借入可。つなぎ融資を使わずに済む「留保金制度」(借入総額のうち未受取分をJAが預かり、着工・上棟時に住宅ローン金利のまま受け取れる分割融資の一種)の説明もあった
- 有利ならJAで、と考え事前審査を申込み。医療保険の資格情報を忘れるハプニングもあったが、結果は1週間ほどで出る予定
このブログについて
都市部で土地から注文住宅を建てる40代・4人家族の記録ブログです。賃貸10年の限界を感じた夫婦が、FP面談・住宅ローン事前審査・土地探しのリアルをそのまま書いています。同じように家づくりを考えている方のヒントになれば嬉しいです。
💬 よくある質問
- Q. 住宅ローンの事前審査は、複数の金融機関に申し込んでもよいのですか?
- A. 一般には、複数の金融機関に事前審査を申し込むことは可能です。条件を比べたり、否決に備えたりするために、並行して進める人もいます。ただし、不動産の売買契約では「融資特約」で対象の金融機関を指定することが多く、どこを指定するかで、あとで説明する解除の可否が変わります。売買を担当する仲介や、金融機関にも相談しながら進めると安心です。
- Q. 「融資特約(住宅ローン特約)」とは何ですか? 金融機関の指定はなぜ大事なのですか?
- A. 融資特約は、契約書に定めた期日までに、指定した金融機関の住宅ローンが承認されなかった場合に、買主が違約金なしで売買契約を解除でき、手付金も返ってくる、という取り決めです。ポイントは「指定した金融機関」を基準にすること。たとえばA銀行を指定して、A銀行の審査が通れば、ほかの金融機関の結果や条件の良し悪しにかかわらず、融資特約による解除はできなくなります。どの金融機関を指定するかは、契約前に確認しておきたいところです。
- Q. 「がん団信」や、団信の「告知」とはどういうものですか?
- A. 団信(団体信用生命保険)は、返済中に亡くなったり所定の高度障害になったりしたときに、保険金でローンが完済される仕組みで、多くの住宅ローンで加入が条件になります。がん団信は、これにがんの保障を加えたもので、金利に上乗せがある場合と、上乗せなしで付けられる場合があります。加入には健康状態の「告知」が必要で、商品や借入額によっては医師の診査を求められることもありますが、告知だけで加入できる場合もあります。告知の内容が事実と異なると保険金が支払われないことがあるため、正確な告知が必要です。
- Q. 注文住宅の住宅ローンは、なぜ「二本立て」になるのですか?
- A. 注文住宅では、先に土地を買い、あとから建物を建てるため、支払いのタイミングがずれます。そのため、土地の分と建物の分で、二本の融資(金銭消費貸借契約)に分けることがあります。土地の代金は購入時に、建物の代金は完成時などに実行されます。そのあいだの資金を「つなぎ融資」でまかなう方法や、一本の契約を分けて実行する「分割実行」に対応する金融機関もあります。金利の低いネット銀行の一部が注文住宅で使いにくいのは、この二段構えに対応していないことがあるためです。
- Q. 土地を買ってから、建物のローンが下りない、ということは本当にあるのですか?
- A. 可能性としては、あります。土地の購入と建物の融資実行までに時間が空くと、そのあいだに収入や勤務、健康の状況が変わり、建物の融資が承認されないことも考えられます。土地の融資だけが残ると返済の負担が重くなり、最悪の場合は土地を手放して返済に充てる、という事態もありえます。事前審査が通っていても本審査で結果が変わることはあるため、土地と建物の資金計画は、時間の観点も含めて確認しておくと安心です。
- Q. 変動金利の「下限(下限金利)」とは何ですか?
- A. 変動金利は市場の金利にあわせて上下しますが、商品によっては「これ以上は下がらない」という下限が設けられていることがあります。たとえば下限が0.98%なら、その後どれだけ金利が下がっても、適用金利は0.98%より下にはなりません。目先の金利の低さだけでなく、下限の有無や、団信などの上乗せ、見直しの頻度もあわせて見ておくと、比べやすくなります。
- Q. JAの「留保金制度」とは何ですか? つなぎ融資と、どう違うのですか?
- A. 留保金制度は、JAバンクにある仕組みで、分割融資(住宅ローンを何回かに分けて実行する方法)の一つです。承認された借入総額のうち、まだ受け取っていない残額をJAが管理しておき、着工・上棟など必要なタイミングで施主が受け取っていきます。この管理されている残額が「留保金」です。多くの銀行では、住宅ローンが下りる前の着工金・中間金を「つなぎ融資」という別の短期ローン(住宅ローンより金利が高め)でまかないますが、留保金制度ではつなぎ融資を使わず、住宅ローンの金利の水準で工事中の資金をまかなえるのが大きな利点です。一方で、返済の始まる時期や、工事期間中に現在の住まいの家賃と返済が重なる可能性などは、事前に確認しておきたい点です。取り扱いや条件はJAや状況によって異なるため、必ず窓口で確認してください。
※この記事について:我が家の家づくりの体験記録です。金利・団信・留保金などの内容は、令和8年時点で私たちが各金融機関から提示・説明を受けた条件にもとづきます。最新の一般的な情報や、住宅ローンの助言ではありません。実際の金利・制度・取り扱いは、金融機関やお住まいの地域・時期によって異なりますので、詳しくは各金融機関の窓口でご確認ください。
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