👩 妻のひとこと
土地探しのあいだ、私たちはずっと、土地を探す側でした。今回はじめて、自分たちのために描かれた家の図面が届きます。担当者が引き受けてくれたラフプランです。届いてみると、同じ一枚の図面でも、夫と私とで、見ているところがまるで違いました。その話を書きます。
📖 前回までのあらすじ
第29話で、一度は見送りかけた神社前の土地を、もう一度二人で見に行きました。午後の暮らしの見学会で、工務店の担当者は、神社前を「これまでの候補でいちばん面白い」と言い、夫が出した「深基礎で床を上げ、デッキで高低差を活かす」という案に、「一度、簡単に線を引いてみましょうか」と応えてくれました。その続きです。
「合計2週間ください」
担当者は、暮らしの見学会の別れぎわに、こう言っていました。「見に行くのに1週間、書くのに1週間。合計2週間、ください」。
実際には、その半分も経たない数日後に、ファイルが届きました。
土地探しのあいだ、私たちはいつも待つ側でした。いい土地が出るのを待ち、業者の連絡を待ち、分筆の話が進むのを待つ。待っているあいだに、土地は売れたり、ネットから消えたり、予算を超えたりしました。今回は、向こうから、自分たちのために描かれた一軒が届いた。土地もまだ決まっていないし、建つと決まったわけでもありません。それでも、家づくりが一歩進んだのは確かでした。
届いた図面の中身
図面は、1階と2階の平面図に、外観のスケッチが1枚にまとまったものでした。
最初に目が向いたのは、間取りではなく、外観の絵のほうです。飾りのない、整った形でした。
敷地は間口8.5メートル、奥行き13メートル、約33坪。家は2階建てで、延床は約34坪。玄関は、道路から数段上がった位置にあります。奥へ上がっていく土地を深基礎で受けて床を持ち上げる——第29話で夫が話した案が、そのまま図面に入っていました。
1階は、水回りを一箇所にまとめ、中心はLDK。キッチンはアイランド型で、調理しながら、リビングの家族と、大きな窓の外の神社の緑が、同じ視界に入る向きでした。第29話で「窓からサクラが見えたら」と話していた緑が、リビングからも台所からも見える配置です。窓は段差なくウッドデッキへつながり、その先に庭。屋根にはトップライト。2階は、夫婦の寝室、子ども部屋が2つ、書斎、トイレ、収納でした。
見学会で話したこと——深基礎の案も、家族と緑を同時に見たいという希望も——が、そのまま一軒にまとまっていました。「2週間」より早い納品とあわせて、担当者の熱意と実力が出ている部分だと思います。
ラフプランは、たたき台です。間取りと外観のイメージで、寸法や仕様が確定したものではありません。気に入った一枚を、私たちはさっそく直しにかかりました。そして、その直し方が、夫と私とで、まるで違いました。
夫が読み込むほど、質問が出てきた
夫は、調べはじめると止まらない人です。図面も何度も開いて、そのたびに質問が出てきました。
- 駐車は縦列。でも間口が8.5メートルしかない。玄関までのアプローチと、車をとめる場所は、両方ちゃんと納まるのか。
- 自転車は、どこに置くのか。駐輪場が見当たらない。
- 洗濯物を干す場所が、ない。
- 2階は、廊下が多くないか。部屋数のわりに、通るだけの場所が増えていないか。
どれも、その家で暮らす場面を具体的に考えたから出てくる質問です。気に入らない図面に、人はここまで細かく聞きません。ラフプランはたたき台で、ここから二人で書き込んでいくもの。質問の多さは、その作業が始まった印でした。
私は、寝室から緑を見たい
私が見ていたのは、別のところでした。
この家でいちばんいい眺めは、神社の緑です。図面では、その緑を子ども部屋から見下ろせる配置になっていました。でも私は、夫婦の寝室から見たい。だから、寝室と子ども部屋を入れ替えられないか、と考えました。
家でいちばんいい眺めを、どの部屋に割り当てるか。夫が「ちゃんと納まるか」を確かめていたのに対して、私は「どこで、どう暮らすか」を見ていました。技術の問題と、暮らしの問題。同じ一枚の図面でも、見ている場所が違いました。どちらも要る、ということなのだと思います。
同じ図面を持って、見学会へ
気に入ったから、質問が始まりました。どうでもいい紙に、人は質問しません。
図面が届くまで、この家は「理想」でした。理想には、文句のつけようがありません。まだ、どこにもないからです。図面が届いて初めて、駐車の納まりも、洗濯物の場所も、寝室から見える景色も、具体的に話せるものになりました。
ちょうど、別の物件の完成見学会にも招かれていました。駐車のこと、駐輪場、物干し、2階の廊下、寝室と子ども部屋の入れ替え——この一枚に書き込みたいことを持って、もう一度、担当者に会いに行くことにしました。
次回は、その見学会で、ひとつずつ疑問をぶつけた日のことを書きます。
📝 まとめ
- 第29話で担当者が引き受けたラフプランが、「2週間ください」の言葉より早く、暮らしの見学会の数日後に届いた
- 土地探しでは「探す・待つ」側だったが、今回は向こうから自分たちのために描かれた一軒が届いた。土地も着工も未定だが、家づくりは一歩進んだ
- 図面の中身:間口8.5m×奥行き13m・約33坪の土地に、延床約34坪の2階建て。数段上がる玄関(深基礎)、水回り集約、家族と神社の緑が見えるアイランドキッチン、ウッドデッキ、トップライト。2階は寝室・子ども部屋2・書斎・トイレ・収納
- 見学会で話した内容(深基礎の案・家族と緑が見える台所)が図面に反映。早い納品とあわせ、担当者の熱意と実力が出ていた
- 夫の質問:間口8.5mに玄関アプローチと縦列駐車が納まるか/駐輪場/物干しがない/2階の廊下が多い。気に入ったからこそ、暮らす場面を考えて足りない点が見えた
- 私(妻)の関心:子ども部屋から見える神社の緑を、夫婦の寝室から見たい=寝室と子ども部屋の入れ替え。夫は「ちゃんと納まるか」(技術)、私は「どこでどう暮らすか」(暮らし)を見ていた
- 図面が届くまで家は「理想」、届いて初めて「議論できるもの」になった。別の物件の完成見学会で、担当者に疑問をぶつけることにした(次回へ)
このブログについて
都市部で土地から注文住宅を建てる40代・4人家族の記録ブログです。賃貸10年の限界を感じた夫婦が、FP面談・住宅ローン事前審査・土地探しのリアルをそのまま書いています。同じように家づくりを考えている方のヒントになれば嬉しいです。
💬 よくある質問
- Q. ラフプラン(たたき台の間取り)は、いつ・どこまで描いてもらえますか?
- A. 一般に、要望や土地の条件をひととおり伝えたあとに、最初のたたき台として描いてもらえることが多いです。配置・大まかな間取り・外観のイメージが中心で、寸法や仕様が確定したものではありません。期間は会社や状況によって変わります。あくまで出発点なので、気になる点を書き込みながら一緒に詰めていく、という前提で受け取ると進めやすくなります。
- Q. アイランドキッチンは、視線や採光をどう考えるとよいですか?
- A. アイランド型はリビング側に開いているため、調理しながら家族や窓の外の景色が見えやすいのが利点です。一方で、手元や油はね、収納や生活感の見え方が気になることもあります。どちらを優先するかは暮らし方しだいなので、見せたい方向(家族・庭・採光)と、隠したい部分(手元・コンロまわり)を整理してから相談すると、配置や向きを決めやすくなります。
- Q. 間口が広くない土地で、駐車と玄関アプローチはどう納めますか?
- A. 間口が限られる土地では、奥行きを活かした縦列駐車にしたり、駐車スペースと人が通るアプローチを兼用したりといった工夫がよく使われます。駐車の台数・とめ方(縦列か横並びか)、自転車置き場、玄関までの動線は、最初の段階で図面に重ねて確認しておくと、あとから「入らない」を避けやすくなります。可否は間口・奥行き・高低差しだいなので、早めに設計者と詰めるのが確実です。
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