「どの不動産業者に頼めば、本当に良い土地に出会えるんだろう」——業者を回れば回るほど、そんな迷いが生まれてきませんか。
私たちも同じ疑問を持ちながら、4社目の業者の扉を開けました。「会員限定物件多数」という広告に、半信半疑で引き寄せられながら。
この記事では、地場業者とは少し違った「不動産+工務店」タイプの会社と話してわかったこと、そして「自社物件」という仕組みを初めて知ったときの話をお伝えします。
この記事でわかること
- 「会員限定物件多数」の広告から登録→何度も電話が来て来店——4社目の不動産業者訪問レポート
- 県内12店舗の「不動産業者+工務店」の会社——複写式ヒアリングシートで詳細に条件を聞かれた
- 「待てば土地は安くなりますか?」と聞いてみた——エリアの土地価格推移グラフを見せてもらった結果
- 「自社物件」って何?仲介手数料がかからない仕組みを初めて知った話
- 南向きの自社物件を見に行ったが、道路との高低差がなく通行人の視線が気になって見送った話
← 注文住宅の土地探し、妻が1人で不動産業者を回った日|100坪の土地と「半歩前進」という手応え
商談中の土地の連絡を待つ間に、妻が1人で別の地場業者を訪ねました。従業員8人中7人がそのエリアに住んでいる業者ならではの情報を得て、100坪超の土地の分筆を提案してもらいましたが、西側道路・鰻の寝床になりそうな形状から見送り。それでも「条件を知ってくれる業者がもう1社増えた」という半歩前進の手応えを感じた日でした。
夕食の席で、夫がさらっと言いました。
次の土曜日、10時に行くことになったから。
何の話かわかりませんでした。聞けば、ある不動産業者のサイトで「会員限定物件多数」という広告を見つけ、無料の会員登録をしたのだと言います。いつもの夫です。何かにハマると、調べて調べて、気になったら登録してしまう。デニムの色落ちを研究していた頃から変わりません。
問題は、その後でした。登録した途端に、携帯電話に何度も着信が入っていたそうです。夫は仕事中で出られず、折り返したところ、来店を勧められ、その場で予約を取ったと。
私にはひと言の相談もなく。
……私も、いつも暇なわけじゃないんだけど。
そう言いたい気持ちはありましたし、実際に言いました。でも、心のどこかでは「まあ、行ってみてもいいか」とも思っていました。地場の業者を2社訪ねた経験から、手を広げすぎるのはよくないけれど、新しい業者を訪ねることで得られるものがあることも実感していたからです。
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登場人物:直感派の妻と、調べ始めたら止まらない自営業40代の夫。都市部で土地から注文住宅を建てる4人家族の記録です。連載のあらましは 第1話 からどうぞ。
県内12店舗。「仕組み」で動く会社
4社目で初めて知った「自社物件」の仕組みと、「待てば土地は安くなる?」への業者の答え。業態ごとの特徴比較はまとめ記事で確認できます。
土曜日の朝、予約の時間に合わせて店舗を訪ねました。
今回の業者は、これまでの3社とは性格が違いました。工務店紹介の仲介業者でもなく、特定エリアに強い地場の業者でもない。不動産の仲介と建築の両方を手がけ、県内に12の店舗を持つ会社です。
応対してくれた担当者は、非常に若い方でした。私たちと親子と言ってもおかしくないほどの年齢差です。でも、挨拶もきちんとしていて、物腰はとても丁寧でした。
席に着くと、担当者は複写式の用紙を取り出し、希望のエリア、価格帯、土地の広さ、駅からの距離、家族構成、子どもの学年、建物の希望——ひとつひとつ質問しながら、メモを取っていきました。
建てたい工務店が決まっていることも伝えました。「別の工務店で建てるなら対応できません」と言われるかもしれないと少し身構えましたが、担当者は特に気にする様子もなく、「承知しました」とだけ言って、そのまま条件の確認に戻りました。
ヒアリングが一通り終わると、複写式の用紙の控えを切り取って、議事録として渡してくれました。
前回の地場業者は、ファイルの山とアットホームな雰囲気が印象的でした。今回は、それとは対照的です。ヒアリングシート、複写式のメモ、手順どおりの対応——地域密着の経験値ではなく、会社としての仕組みで勝負するタイプの業者だと感じました。
どちらが良い悪いではありません。ただ、地場業者を2社訪ねた後だからこそ、この違いがはっきりと見えたのだと思います。
「待てば、土地の値段は下がりますか?」
妻
業者さんに「待てば下がりますか?」と聞いてみた。正直に「ケースバイケース」と言ってくれたのが、かえって信頼できた。
条件の話がひと段落したところで、ずっと聞いてみたかったことを切り出しました。
建築費もこれだけ上がっていますし、住宅を建てる人も減っていますよね。そもそも人口も減っていく。待っていれば、土地の値段も下がるんでしょうか?
夫と私の間で、何度か話題にのぼっていた疑問です。ネットで調べても、「下がる」と書いている記事もあれば「下がらない」と書いている記事もある。結局、専門家でも意見が分かれていて、素人の私たちには判断がつかない。だったら、実際に土地を扱っている人に聞いてみよう、と思いました。
担当者の答えは、明快でした。
コロナのときには一度下がりました。でも、その後は一貫して上がり続けています。田舎のほうは正直わかりませんが、このあたりの土地価格が下がるイメージは、正直ないですね。
そう言って、担当者は1枚の資料を見せてくれました。このエリアの土地価格の推移をグラフにまとめたもので、コロナ禍の一時的な下落と、その後の右肩上がりがはっきりと読み取れました。
「待てば安くなるかもしれない」という淡い期待が、この資料で静かに消えていきました。
⚠️ 「待てば下がる」は、このエリアでは通用しなかった
我が家がこの業者に聞いた範囲では、都市部の住宅地の土地価格はコロナ後も上昇を続けているとのことでした。もちろん、地域や立地条件によって事情は異なります。ただ、「待てばいつか下がるだろう」という漠然とした期待で判断を先送りにすると、その間に建築費がさらに上がるリスクもあります。我が家は、この話を聞いてから「いい土地があったら動く」という姿勢がより明確になりました。
「自社物件」を初めて知った日
夫
「自社物件」という仕組み、このとき初めて知った。業者によって持っている物件の種類が違う、という当たり前のことが、ちゃんとわかっていなかった。
用語メモ:自社物件
不動産会社が「売主」として自社で仕入れ・販売している物件のこと。仲介物件(売主と買主の間に立って手数料を受け取る取引)と違い、仲介手数料がかからないケースがある一方で、価格は売主となる会社の裁量で決まります。本記事では、4社目で初めてこの仕組みを知ったときのやり取りを解説します。
条件のヒアリングと土地価格の話を終えた後、担当者がこう言いました。
次回までに、条件に合う物件の提案資料をまとめておきます。1週間後にまたお越しいただけますか?
1週間後の予約を取りました。次回はどんな物件が出てくるのだろうと楽しみにしていたところ、担当者の声のトーンが少し変わりました。それまで手順どおりに淡々と進めていた若い担当者が、ふと身を乗り出すようにして言ったのです。
実は……お客様の条件に近い物件がひとつあります。うちの自社物件なんですが——。
自社物件。初めて聞く言葉でした。
聞けば、この不動産業者が自ら土地を仕入れて、販売しようとしている物件のこと。一般的な仲介物件は、売主と買主の間に仲介業者が入り、双方から仲介手数料を受け取ります。でも自社物件の場合、売主が不動産業者そのものなので、買主側の仲介手数料がかからないというのです。
さらに、自社が仕入れた段階の物件なので、まだネットに載せていないとのこと。「会員限定物件」というのは、こういう仕組みだったのかと、ようやくつながりました。
💡 「仲介物件」と「自社物件(売主物件)」の違い
仲介物件は、売主と買主の間に不動産業者が入り、成約時に仲介手数料(物件価格の3%+6万円+税が上限・400万円超の場合)がかかります。一方、自社物件(売主物件)は、不動産業者自身が売主のため、仲介手数料がかかりません。たとえば3,000万円の土地なら、仲介手数料は約105万円。この差額は大きいです。ただし、自社物件は業者の利益が物件価格に含まれている場合もあるため、「手数料ゼロ=総額が安い」とは限りません。周辺相場と比較して判断することが大切です。
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南向き、駅徒歩18分。でも——
早速、その自社物件の資料を見せてもらいました。
南向き。それは良い。駅からは徒歩18分で、近くも遠くもないという距離感。間口も、狭すぎず広すぎず。一見すると悪くない条件に見えました。
でも、資料と地図を見ながら現地の状況を想像したとき、ひとつ引っかかったのが「道路との高低差」でした。
この土地は、接している道路とほぼ同じ高さでした。南向きとはいえ、道路に面したリビングの窓を開ければ、通行人の視線がそのまま入ってくる。休日の朝、ソファでコーヒーを飲んでいたら、散歩中の人と目が合う——そんな気まずい暮らしが、ありありと想像できてしまったのです。
私たちがずっとこだわってきた「抜け感」。窓の向こうに空が見える開放感。道路との高低差があれば、同じ南向きでも通行人の視線を気にせずに窓を開けられます。でもこの土地では、リビングの窓を閉め切って生活することになるだろうと思いました。
しかも、希望していたエリアから少し外れている。
購入することはないと思いました。
ただ、「自社物件」という存在を知れたことは大きな収穫でした。ポータルサイトに載らない物件がある。仲介手数料がかからない取引の仕組みがある。土地探しの選択肢が、また少し広がりました。
📝 「抜け感」で土地を判断するとき、道路との高低差は大きなポイント
同じ「南向き」の土地でも、道路との高低差があるかないかで、窓からの景色や暮らし方はまったく変わります。道路より少し高い土地であれば、通行人の視線を気にせずリビングの窓を開けられます。逆に、道路と同じ高さで道路に面している場合、南向きでもカーテンを閉めたまま過ごすことになりがちです。我が家は見学会やモデルハウスを通じて「抜け感」の大切さを実感していたので、この判断ができるようになっていました。
帰り道——「勉強になったね」
妻
ピンとくる物件はなかったけれど、「行ってよかった」と思った。土地探しって、物件より知識が先に増えていく。
店舗を出て、車に乗り込みました。
夫が、ハンドルを握りながら言いました。珍しく、私もまったく同じことを思っていました。
自社物件の仕組みを知れたこと。土地価格の推移を資料で見せてもらったこと。そして、1週間後にまた訪ねれば、提案資料を見せてもらえるという期待。物件を買わなくても、訪ねた意味はあった。4社目だからこそ見えた景色がありました。
「来週の提案も楽しみだね」
そう言い合えたのは、これまでの3社で「手を広げることの価値」を実感していたからだと思います。1社だけで探していたら、自社物件のことも知らなかった。土地価格の推移を見せてもらうこともなかった。4社に広げたことで、土地探しの「入口」が確実に増えている。
ふと思いました。情報は、待っていても来ない。取りに行った分だけ、選択肢が増える。
信号待ちで止まったとき、横を見ると、夫が満足げな顔でハンドルを握っていました。朝は「私も暇じゃない」と腹を立てていたはずなのに、今はこうして「来てよかったね」と笑い合っている。鬼電アポに振り回されたのは事実ですが、まあ、たまにはこういう暴走も悪くないか——と、心の中でこっそり前言撤回しました。
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📌 次にやるべきこと:土地探しの注意点を体系的に知りたい方はこちら。
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「自社物件」という仕組みを知って、業者の見方が少し変わった回です。
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💬 よくある質問
- Q. 「待てば土地は安くなる」は本当?
- A. 都市部では難しい、というのが業者の率直な答えでした。建築費の上昇も合わせて考えると「待つコスト」も考慮が必要です。
- Q. 自社物件と仲介物件、どちらが得?
- A. 自社物件は仲介手数料が不要な分、価格交渉の余地が小さいのが一般的です。周辺相場と比較してから判断するのが安心です。
- Q. 数字上は好条件の土地でも見送るべきケースは?
- A. 駅徒歩や日当たりなどの数字だけでは見えないリスクがあります。我が家は駅徒歩18分・南向きという条件の良い自社物件を見送りましたが、理由は道路と敷地に高低差がなく、リビングや庭が通行人の視線にさらされそうだったためでした。視線の抜け方、周辺の騒音や交通量、隣家との距離感など、現地で実際に立って確かめないと分からない要素が判断の決め手になります。土地選びの判断軸は土地探しまとめで整理しています。
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