平屋の完成見学会レポート(後編)——コスト配分と上物5,200万円のリアル

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📖 前編のあらすじ

この記事は後編です。前編はこちらからお読みいただけます。

目次

子ども部屋と風呂——「締めるところ」が見えた

2階のない平屋なので、子ども部屋も同じ階に並んでいます。

リビングやキッチンとは打って変わって、子ども部屋の内装はクロスの壁にシートフローリングでした。正直、入った瞬間「あ、ここは違うな」とすぐにわかりました。でも不思議と、不満には感じなかった。むしろ、「なるほど、ここで調整しているのか」という腑落ち感がありました。

浴室もユニットバスでした。前回のモデルハウスで、全面タイル張り・間接照明のホテルライクな造作風呂に「うわ」と声が出た我が家です。あれと比べれば、当然ぜんぜん違う。でも清潔感があって、機能的で、日々の使い勝手としては十分すぎるくらいのものでした。

担当者がさらっと言った言葉が、記憶に残っています。「お金をかけるところはかける。締めるところは締める。 そのバランスが、長く暮らせる家になると思っています」と。

その言葉を聞いて、私はもう一度、ピットダウンリビングに足を踏み入れたときの感覚を思い出していました。リビング、木製サッシ、造作キッチン——そこに力をかけて、子ども部屋とお風呂は実用的な仕様に抑える。全部に感動する必要はない。「何にこだわるか」を自分たちで選ぶことが、家づくりということなのかもしれないと、少し整理されてきた気がしました。

このとき私の中で、一つ方針が固まりました。「リビングで妥協しない」ということです。予算の話になると、あれもこれも削らなければいけない気持ちになる。でも、毎日いちばん長く過ごす場所だけは、最後まで諦めないでおこう——それが、この見学で私が「決めた」ことでした。

最後に、金額を聞いた

見学の最後に、担当者から今回の家の費用について教えてもらいました。

外構費用も含めた上物の総額が、約5,200万円。第3話で見た28坪の家が約3,500万円でしたから、今回はその1,700万円上です。我が家が考えている予算の上限と比べると、今回の金額は大幅に超えています。「どこにお金をかけ、どこを抑えるか」という設計の考え方は参考になっても、この仕様そのままは現実的ではない——そう頭ではわかっていながら、ピットリビングで感じた「あの包まれる感覚」が忘れられないのも、また本当のことでした。

聞いた瞬間、夫がいつもより少し長く黙っていました。普段なら費用の話を聞いた後にすぐ「坪単価でいうと〜」と計算を始めるのに、このときはただ静かに頷いていた。

私も、しばらく何も言えませんでした。

たしかに、素晴らしい家でした。ピットリビングも、木製サッシも、造作キッチンも。ただ、3,500万円という数字を聞いたときとは、重さが少しちがいました。あのときは「いい家には、それだけかかるんだ」と、どこか他人事として受け取った気がします。でも今回は、自分たちが信頼している担当者が、施主のために建てた家の値段でした。「同じような家を、この人に建ててもらうとしたら」という想像が、自然と浮かんでしまった。

前回見た28坪・二階建ての完成見学会は、同じく外構込みで約3,500万円でした。同じ工務店が建てた家なのに、1,700万円の差がある。今回は平屋で坪数も違いますが、ピットダウンリビング・木製サッシ・造作キッチン——どこにお金をかけたかが、そのまま数字に表れているということでもあります。コストを抑えた部分があってもなお、5200万円。それが上物だけの金額です。

帰りの車に乗って、しばらくしてから夫が言いました。「YouTubeで見てた家って、もっとすごいじゃん……あれ、実際にはいくらかかるんだろう」と。

その言葉の続きは言いませんでしたが、意味はわかりました。動画の中で見てきた「理想の家」と、実際に目の前に建っている家と、予算と——それらをどう折り合わせるか、という問いが、夫の中で静かに大きくなっているんだと思いました。

「ほかのハウスメーカーも、見てみたほうがいいかな」と、夫がぽつりと続けました。

「どこか気になるところあるの?」と聞いたら、夫は「いくつかYouTubeで見てる」と言いました。「いくつかって、何社?」と聞くと、少し間があって「……7社」。「見てるだけだから」と付け足していましたが、7社は「見てるだけ」の範囲を超えていると思います。

悩みは増える一方だけど、それだけ真剣に考えているということなのかもしれない。私は「そうかもね」とだけ答えました。

今回見学した家の概要(参考)

構造・規模 平屋
駐車場 土間コンクリート(洗い出し仕上げなし)
リビング ピットダウンリビング・木製サッシ
壁仕上げ(リビング) ペイント仕上げ(漆喰ではない)
床材(リビング) オーク引き板フローリング(オーク材を薄く挽いた板を貼り合わせた複合フローリング。無垢材の風合いに近く反りが起きにくい)
子ども部屋 クロス壁・シートフローリング
浴室 ユニットバス
キッチン 造作
上物費用(外構込み) 約5,200万円

担当さんの「仕事」が、少しわかった気がした

帰り道、夫がもうひとつ言ったことがあります。「担当さんって、ちゃんとわかってる人だな」と。

具体的な言葉はそれだけでしたが、たぶんこういう意味だったと思います。全部を詰め込まずに、どこを見せてどこを抑えるかを選んでいる。施主の暮らし方に合わせて、優先度をちゃんと設計している。そういう仕事をする人だ、という確認が、今日できた——と。

担当者の実力を見たくて来た見学でした。その点で言えば、来た意味はあったと思います。契約前の我が家にここまで動いてくれる担当者への感謝を、改めて感じた帰り道でした。

ただ夫の中では、「ここで建てたい」という気持ちと、「もう少し比べてみたい」という気持ちが、今も並走しているようです。

思えば、夫はもともとそういう人です。何かにハマると底なしに調べる。納得するまで比べる。それを「優柔不断」とは思っていません。この人が「比べた上で選んだ」と言える状態になって初めて、この担当者への信頼も、本物の信頼になる。そういう意味では、「他も見てみたい」という気持ちは、信頼している担当者だからこそ生まれた正直な感情なのかもしれません。

ピットダウンリビングに足を踏み入れたときの、あの包まれる感覚は、私の中にもまだ残っています。比べた先でも、この感覚を超える場所がなければ——そのときは迷わず戻ってこれる、という気持ちもあります。しばらく夫婦で話しながら、次の一手を考えていくことになりそうです。

まとめ

  • 担当者が手がけた平屋の完成見学会。「実力を見たかった」という正直な動機で参加した
  • 駐車場は土間コンクリート。洗い出し仕上げではないことに夫がすぐ気づいた。コストを抑えた部分のひとつかもしれない
  • ピットダウンリビングに入った瞬間に足が止まった。木製サッシから見える外の緑がよかった
  • 床はオークの引き板フローリング。歩いてみると無垢と言われても違和感がないくらい自然だった。無垢材は湿度で膨張・収縮しやすく反りが出やすいと知り、「無垢であれば必ずいい」というわけでもないと気づいた
  • リビングやキッチンに力をかけ、子ども部屋と浴室はシンプルな仕様にまとめる——「お金をかけるところと締めるところ」の設計思想を体感した
  • 外構込みの上物総額は約5,200万円。夫が「YouTubeで見てた家はもっとすごい……」と静かになった
  • 「ほかのハウスメーカーも見てみたいかも」という気持ちが夫の中に生まれ始めている

📌 同じ状況の方へ:完成見学会では「お金をかけている部分」と「抑えている部分」の両方を見ると学びが大きいです。設計の優先順位は家庭ごとに違うので、「自分たちなら何にお金をかけたいか」を夫婦で話すきっかけにしてみてください。金額に驚いても、設計思想は予算に関わらず参考になります。

📌 同じ状況の方へ:完成見学会の費用はあくまで参考値です。坪数・仕様・地域・時期によって大きく変わります。「見た家と同じ仕様でいくら」ではなく、「どこにお金をかける考え方か」を学ぶ場として参加すると、見え方が変わります。

次回は、工務店が紹介してくれたファイナンシャルプランナーとの面談について書く予定です。行く前は「工務店の紹介だから都合のいいことを言われるんじゃないか」という疑念があったのですが——その話を正直にお伝えします。

上物予算、皆さんはどのくらいを目安に考えていますか?「こんなに?」と感じたり「意外と?」と思ったり、感覚は人それぞれだろうなと思っています。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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