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ハンス・ボーリングのダック親子、わが家の動物園が始まった話

2026 5/21
家具・雑貨
2026年5月18日2026年5月21日
⏱ 読了目安:約14分
いえづくりブログ — 番外編 | 📚 連載一覧
第5話 / 連載中
番外編

⏱ 読了目安:約12分

👩 妻のひとこと

夫が飛騨高山から連れ帰ってきたのは、子鳥1羽だけでした。半年後、大阪で親鳥に再会して連れて帰ってきた時、留守番していた子鳥が「うちは動物園になっちゃうの」と私に言わせました。雑貨ひとつで暮らしに小さな物語が増える——家を建てる前から、わが家の家づくりは始まっていたのだと思います。

本記事にはアフィリエイト広告(PR)が含まれます。

📐 情報
この記事について 注文住宅の家づくりを進めているわが家が、実際に愛用している北欧雑貨を紹介するシリーズの第2回です。前回のカイ・ボイスンのモンキーに続き、今回はわが家で最初の住人となった「ハンス・ボーリングのダック親子」について書きます。
目次

夫が「友達と岐阜に行く」と言い出した夏

2025年の夏頃、夫がふと言い出しました。

「友達と岐阜に行ってくる。飛騨高山のキタニ本社に、フィン・ユール邸ってのがあって」

当時の私は、「ふーん」くらいの反応だったと思います。フィン・ユール? デンマーク? 家具デザイナー? 北欧好きな夫のいつもの趣味だろう、くらいの気持ちでした。

ただ、今にして振り返れば、あの夏の夫はすでに家づくりのことを考え始めていたのだと思います。私にはまだ話していませんでしたが、フィン・ユールという北欧家具の巨匠の名前にたどり着くほど、夫の中では「自分たちの家」というテーマが、じわじわと形になり始めていたのでしょう。

夫は友達と連れ立って、岐阜の山の奥へと向かいました。

展示場の入口で、親子のアヒルに出会った

飛騨高山のキタニ本社ショールームは、デンマーク家具のライセンスを持つ稀有な家具メーカーの拠点です。敷地内にはフィン・ユールの自邸を忠実に再現した「フィン・ユール邸」も建っていて、北欧デザインを愛する人にとっての聖地のような場所。

その展示場の入口付近に、夫は親子のアヒルを見つけました。木製の、親鳥と子どもが一体ずつ。近くには、兵隊のような姿をした木の人形(後に調べて、カイ・ボイスンのロイヤルガードという名作だと知りました)も並んでいたそうです。

夫の目を引いたのは、丸くてやさしいシルエットでした。アヒルの親鳥は胴体がふっくらと丸く、頭もすっぽりとした球体で、くちばしだけがちょこんと突き出ている。隣に立つ子は、親のフォルムをそのまま小さくしたような、手のひらサイズの愛らしさ。

夫はしばらく親子の前に立ち尽くしていたそうです。

ダックリングだけを連れて帰った日

その日、夫は迷った末に、子どもの方だけを連れて帰ることにしました。

親子で揃えると4万円弱。子どもは1万円強、親鳥は2万円台半ば。値札を見て、夫は「これはさすがに……」と、一旦親鳥は見送ることにしたのです。わが家にとって、初めての北欧雑貨でした。正直なところ、木のオブジェにこの金額、というのは、当時の感覚では「高い」と感じたそうです。

友達は何も買いませんでした。ただ夫だけが、小さな箱を大事そうに抱えて、高山の山を下りてきたのです。

箱を開けて、夫がリビングの棚にそっと置いた小さな木のアヒルの子。その名はハンス・ボーリングという、デンマークの建築家兼デザイナーが生み出した「ダックリング」。高さは約9cm、片手で包み込めるほどの、ささやかな存在感です。

手に取ってみると、チーク材のなめらかな曲面が、不思議なほどしっくりと馴染みました。頭部は軽く動かすことができて、まっすぐ向かせたり、少しうつむかせたり、表情をつけられるのもかわいい。

こうしてわが家に、最初の「小さな住人」が加わりました。

ダックリングのいる暮らし

一体の小さな木のアヒル——たったそれだけのことなのに、暮らしの風景が、少しだけ変わりました。

朝、棚の前を通るたびに、ダックリングがこちらを向いている。夫がふと立ち止まって、頭の角度を直してあげている。帰宅して「ただいま」と言うと、なんとなくこのアヒルの子にも声をかけている自分がいる。

一方で、わが家にはもう一つ、前からあった習慣があります。

散歩の途中、川にカモがいると、指をさして「カモだよ」と言う。家族みんなで、同じ反応をする。何回見ても飽きない。やっぱり、うちの人たちは、みんなかわいいもの好きなんだと思います。

ダックリングは、そんなわが家の”カモ愛”を、静かに象徴するような存在でした。

💡 ヒント
🦆 ハンス・ボーリングのダック、こんなストーリーがある

ダックのデザイナー、ハンス・ボーリング(Hans Bølling)はデンマークの建築家。1959年のある春の日、コペンハーゲン郊外フレデリクスベアの交通量の多い道路で、警察官が車の流れを止めて、一家のカモを渡らせた——その微笑ましい光景が翌日の新聞に大きく掲載され、デンマーク国民の心を掴みました。その出来事に感動したボーリングが、光景を永遠に残そうと木のオブジェとしてデザインしたのが、このダックとダックリングなのです。現在はArchitectmade(アーキテクトメイド)社が、デンマーク国内の職人の手作業で製造を続けています。

この話を後から知ったとき、わが家が川でカモを指さして「カモだよ」と言い合うのとどこか繋がっている気がして、なんだか嬉しくなりました。

秋、もう一体——モンキーが加わる

ダックリングと暮らす日々が続き、季節は秋に変わっていきました。

その頃、夫婦の会話の中に「そろそろ家を建てようか」という言葉が少しずつ混ざるようになり、わが家の家づくりが現実のテーマとして立ち上がり始めます。

そしてある日、夫から届いた一枚のサルの写真。カイ・ボイスンのモンキーでした。値段を聞いて「購入しないで欲しい」と反対した私が、実物を見て納得した話は、前回の記事に書いた通りです。

こうして、秋のわが家にはダックリングとモンキー、二体の小さな住人がいることになりました。動物園というほどではないけれど、片隅に「かわいいもの」が集まりはじめている気配。

——ただ、夫の心には、どこか小さな未練が残っていたようでした。

あの夏、飛騨で見送った親鳥のことです。

12月、椅子を見に行った大阪で——半年越しの再会

2025年の12月。わが家の家づくりは、いよいよ具体化し始めていました。

その頃、夫婦で盛り上がっていた話題のひとつが、新居のダイニングチェアです。「椅子にはこだわりたい」という点は、夫婦で一致していた数少ない合意事項のひとつ。そこで白羽の矢が立ったのが、ハンス・ウェグナーのCH24(Yチェア)でした。

実物を座ってみたい。しかもできれば、いろんな仕上げを見比べてみたい。そこで私たちは、夫婦でカール・ハンセン&サン フラッグシップ・ストア大阪へ向かうことにしました。

お店は南堀江の、デザインショップが並ぶ通りにありました。静かな店内に並ぶウェグナーの椅子たちを、一脚ずつ座り心地を確かめていきます。そして、CH24の購入を決めたちょうどそのとき——店の一角にぽつんと置かれた、見覚えのある姿が目に入りました。

ハンス・ボーリングの、ダックの親鳥でした。

思わず、夫と顔を見合わせました。

妻
「これ、夏に岐阜で見た、あの子の親だ」

半年前、飛騨の展示場で夫が見送ったあの親鳥と、今度は大阪の店で再会したわけです。

ダックリングが家に来てから半年。その間にモンキーが加わり、わが家にとって木の住人のある暮らしは、すっかり日常になっていました。親鳥の値段も、半年前に感じたときより驚くほど自然なものに見えていたのです。同じ値札、同じ額なのに、心の受け止め方がまるで違う。

その場で、親鳥を迎えることが決まりました。CH24の購入と、同じ日のことです。

📖 家づくり日記・本編はこちら(連載第1話から)

賃貸10年で限界——4人家族が都市部で注文住宅を決めた理由

賃貸2LDKに10年暮らした4人家族が、子ども部屋の限界から注文住宅を決意。都市部で土地から家を建てるまでの記録、第1話。

「うちは動物園になっちゃうの」——親子がそろった日

大阪から帰宅して、親鳥の箱を開けたとき、留守番していた子が、半ば呆れたような、半ば楽しそうな声でこう言いました。

子
「うちは動物園になっちゃうの」

その一言に、夫婦でそろって吹き出しました。

考えてみれば、この数ヶ月のわが家は、確かに少しずつ動物が増えてきているのです。夏にダックリング、秋にモンキー、そして冬に親鳥のダック。留守番していた子から見れば、両親が外出するたびに新しい住人が増えていく、不思議な家に映っていたのかもしれません。

ダックリングの隣に、親鳥をそっと置いてみました。

並べた瞬間、かわいさが倍増しました。

親鳥は胸を張って前を向き、ダックリングはその隣で、同じ方向を見つめるように立っている。木目の色味や質感まで似ていて、やはりこの二体は「ひと組」なのだと、素直に腑に落ちる佇まいでした。

ハンス・ボーリングのダック(親鳥)とダックリング(子鳥)の2体
親子が並んだ瞬間、かわいさが倍増した。同じチーク材——やはりこの二体はひと組だ。
📦 製品情報
🦆 ハンス・ボーリングのダック親子の基本情報

デザイナー:ハンス・ボーリング(Hans Bølling、デンマークの建築家・デザイナー)

発表年:1959年

現在の製造:Architectmade(アーキテクトメイド社)

素材:チーク材

サイズ:Duck(親)約18cm/Duckling(子)約9cm

特徴:頭部が可動し、表情を変えられる

わが家が迎えたのは:ダックリング(2025年夏・飛騨高山キタニで)、ダック親鳥(2025年12月・カール・ハンセン&サン大阪で)

親子は2体で十分か、家族分そろえるべきか

実はわが家では、このダック親子をめぐって、ひそかな議論が続いています。

夫は言うのです。「あと2体、親鳥と子を1体ずつ増やしたい」と。わが家は家族4人。だから親2、子2のダック4体で揃えたい、というのが夫の主張です。

一方の私は、少し違う意見です。親子2体で、すでに完成しているような気がするのです。親鳥の後ろに子が一体寄り添っている今の佇まいは、静かで、余白があって、見ていて安らぐ。ここに親子がもう一組増えると、賑やかにはなるけれど、この静けさは失われるのではないか——そんな気もしています。

しかも、家族構成と動物の数を合わせる必要があるのか、という根本的な疑問もあります。わが家は確かに4人家族ですが、ダック親子は「わが家のミニチュア」ではなく、「わが家に住む、別の家族」なのかもしれない。それなら、この親子は親子のままで、完結していてもいいのではないか。

夫はそれでも、「いつか2体、もっと増やしたい」と言い続けています。答えの出ない、小さな論争です。

いま振り返ると——夫の家づくりは、ここから始まっていた

あの2025年夏、夫が「友達と岐阜に行く」と言い出したとき、私は家づくりの話をまったく聞いていませんでした。

でも今思えば、あの時点で夫はすでに、自分たちの家のことを、静かに考え始めていたのだと思います。フィン・ユールという北欧家具の巨匠に興味を持ち、飛騨高山まで足を運び、そこで出会った親子のアヒル。そのダックリングが、わが家にとっての「家づくりの最初の一歩」だったのです。

秋にはモンキーが加わり、冬には親鳥が加わり、同じ日にはCH24という新居の椅子も決まりました。モノが増えていくペースと、家づくりの意識が固まっていくペースが、見事に重なっている——そう気づくのは、こうして半年後に振り返った今だからこそです。

カイ・ボイスンのモンキーとハンス・ボーリングのダック親子3体
夏のダックリング、秋のモンキー、冬の親鳥。わが家の動物園、三体そろった。

このダック親子は、わが家の「動物園」の最初の住人であり、同時に、わが家の家づくりの、静かな予兆でもあったのかもしれません。

新居の棚で、また一家で

土地探しは今も続いています。候補の土地がなかなか決まらず、焦る日もあります。

それでも、新居ができた暁には、飾り棚の一角を「わが家の動物園」にしたいと思っています。ダック親子、モンキー、そして——夫の言う通り、もう一組の親子が加わって、ダックが4体並ぶ日が来るかもしれません。

リビングに差し込む光の中で、棚の上のアヒルたちがこちらを向いている。散歩帰りに家族で「今日、川にカモがいたね」と話している。そんな風景が、新居に似合う気がしています。

📝 まとめ

まとめ

  • 2025年夏、夫が飛騨高山のキタニでダックリング(子)だけを連れて帰ってきた。親は保留。
  • 秋にカイ・ボイスンのモンキーが加わり、わが家の「動物園」が少しずつ形になっていった。
  • 2025年12月、夫婦でCH24を見に行った大阪で、半年越しに親鳥と再会、その場で連れ帰る。
  • 留守番していた子が「うちは動物園になっちゃうの」。家族みんなで、笑った日。
  • ダックのデザインの背景には、1959年コペンハーゲンで警察官が車を止めてカモの一家を渡らせた実話がある。
  • 川でカモを見ると指さす、わが家の”カモ愛”と、どこかで繋がっている気がする。
  • 夫は「親鳥と子を1体ずつ増やして、ダック4体で揃えたい」派、妻は「親子2体で完成している」派。答えの出ない、小さな論争が続く。
  • 振り返ると、この夏のダックリングこそ、わが家の家づくりの最初の一歩だったのかもしれない。

次回は、わが家の動物園に仲間入りしたリサ・ラーソンの猫について書く予定です。スウェーデンの陶芸家が生み出した、ユーモアと温かみをまとった一匹。どんなご縁でわが家にやってきたのかを、少しずつ言葉にしていきます。お楽しみに。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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💬 よくある質問

Q. ハンス・ボーリングのダックは何種類ありますか?
A. 親鳥「Duck」(高さ約18cm)と子鳥「Duckling」(高さ約9cm)の2サイズがあり、いずれもチーク材の無垢材で作られています。頭部が可動するのが共通の特徴で、親子セットで揃えると、棚やシェルフに自然な物語感が生まれます。
Q. 北欧の木製オブジェのお手入れ方法は?
A. 基本は乾拭きで十分です。直射日光を避けて飾り、気になる汚れは固く絞った布で拭き取ります。乾燥が気になる場合は数年に一度、専用の蜜蝋ワックスやオイルを薄く塗ると、木目の表情が長く保てます。

📌 連載の続きを読む

  • ◀ 番外編 第4話:カイ・ボイスンのモンキー、一生物にお金を払う感覚を手に入れた話
  • ▶ 番外編 第6話:仕事の椅子を買いに行ったら、アーロンチェアとPP58を選ぶことになった話

あわせて読みたい(テーマ別まとめ)

  • ・工務店とハウスメーカーの違いと選び方
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✍️ この記事の書き手

いえづくり妻

都市部で土地から注文住宅を建てる40代・4人家族の妻。直感派の私と、調べ始めたら止まらない自営業の夫で、FP相談・土地探し・住宅ローンのリアルを等身大で記録しています。

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いえづくり妻
注文住宅建築中(40代・自営業+パート・4人家族)
はじめまして、いえづくり妻です。都市部で土地から注文住宅を建てようとしている、40代・4人家族の妻です。家族は、何かにハマると底なしに調べ続ける自営業の夫と、感覚で「いいな」を判断する妻、そして子ども2人。賃貸10年の限界を感じたところから、FP相談、住宅ローン事前審査、土地探しと、一つずつ階段を上っています。このブログでは、予算の綱引き、不動産業者4社との面談、見学会で感じたことなど、試行錯誤をそのまま記録しています。同じように「土地から家を建てる」を検討している方のヒントになれば嬉しいです。
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