📖 前編のあらすじ
この記事は後編です。前編はこちらからお読みいただけます。
「いくらの家を考えていますか」より先に知りたかったこと
面談の中盤で、「今、どのくらいの予算規模を考えていますか」と聞かれました。
少し迷ってから、正直に言いました。「予算より先に、無理なく返せる金額を知りたくて来たんです」と。完成見学会で3,500万円という数字を聞いてから、「どこまでなら現実的なのか」という感覚がずっとふわふわしていて、その答えが出ないまま今日まで来ていたからです。
さっきまで「無垢の床・漆喰にしたい」と舞い上がっていた夫を横目に、私はずっとそのことが頭にありました。好きな素材を語る前に、まず地に足をつけてほしい、と。
FPは「わかりました」と言って、話を先に進めました。大げさに肯定されるわけでもなく、たださらりと受け取ってくれた。それがかえって、ちゃんと聞いてもらえた感じがしました。
70代後半まで借りられる——その言葉の重さ
面談で一番頭に残ったのは、住宅ローンの返済期間の話です。
我が家は40代。「年齢が遅い分、何歳までローンが組めるのか」というのが、家づくりを考え始めたときからずっと心配の種でした。FPから返ってきた答えは、「最長で70代後半まで借りられます」というものでした。
70代後半まで。
数字としては、思っていたより長かった。「借りられる」という意味では、選択肢がないわけじゃない。でも、その言葉を受け取りながら、頭の中でじわじわと別の問いが膨らんでいました。70代後半まで、返し続けられるのか。
夫は自営業です。定年がない分、長く働けるという面はあります。でも同時に、今と同じ収入が何十年も続く保証はどこにもない。今だって、家族のために無理をして働いてくれているのはわかっています。それがこの先も同じ調子で続くとは、正直思えない。常識的に考えても、40代と70代とで同じように働けるわけがない。体力も、仕事の量も、きっと変わっていく。「70代後半まで借りられる」は「70代後半まで安心して返せる」とは別の話だ——ということを、この場で改めて意識しました。
夫に後で聞いたら、同じことを考えていたそうです。「借りられる年齢を知れてよかったけど、返せるかどうかはまた別の話だよな」と。いつもなら無謀なくらい前のめりになる夫が、ここでは冷静でした。お金のことに関しては、このくらいの慎重さがちょうどいいと思っています。
「ご両親の援助は受けられそうですか」——その問いに、言葉が詰まった
面談の後半、FPからこんな質問がありました。「ご両親は家づくりに反対していませんか。援助を受けられそうですか」
さらっと聞かれた質問でしたが、私は少しの間、答えが出てきませんでした。隣の夫を見ると、かすかに表情が固まっていました。
反対はしていないと思います。でも、きちんと話し合ったことが、一度もなかった。それがこの瞬間に気づきました。家を建てようと決めてから、見学会に行って、FPの予約を入れて——それなりに動いてきたのに、両親にはまだちゃんと話していない。漠然と「報告はそのうち」と思っていたのだと思います。
夫にとっては、もう少し複雑な事情もあります。夫は子どもの頃から、親にあれこれ口を出されながら育ってきた人です。型にはめられることへの反発が、ずっとどこかにある。だから、大きな決断ほど「親には事後報告でいい」という気持ちが働きやすい。それは私も薄々感じていたことです。「親に言ったら何か言われる」——その予感が、先送りにさせていたのかもしれません。
援助の話になると、さらに難しい。お金のことを親に切り出すのは、離れて暮らしているぶん、なおさら言いづらい。顔を見て話せない距離感というのは、こういうときにじわりと効いてきます。
一方で、自分たちで決めたい、という気持ちも正直あります。 親の援助を受ければ、多少なりとも「意見を聞かなきゃ」という気持ちが生まれるかもしれない。家づくりは何十年もの話だから、夫婦2人で納得して進めたい。それが本音です。
FPはそういう気持ちを否定せず、「援助を受けるかどうかはご夫婦で決めることですが、もし受ける場合は贈与税の非課税枠が使える制度もあるので、事前に確認しておくと選択肢が広がります」と教えてくれました。住宅取得のための親からの資金援助には、一定の条件を満たすと贈与税がかからない枠があるそうです。我が家がそれを使うかどうかはまだ何も決めていませんが、「知っておくのと知らないのとでは違う」という話でした。
帰ってから夫に「両親に話しかけたことがなかったの、気づいてた?」と聞いたら、少し間があってから「そうだよね」と言っていました。「いつ話そうか」と聞いたら、「……今度会ったときに」と返ってきました。いつになるかわからない、ぼんやりとした答えでした。でも、それが夫の精一杯だということは、隣で見ていてわかりました。私は「そうだね」とだけ言って、それ以上は押しませんでした。親にいつ切り出すか、ずっと測っていたような間でした。
答えはまだ出ていません。でも、FPに聞かれるまで気づかなかったことが、この面談に来た一番の収穫だったかもしれない——帰り道、そんなことをぼんやりと考えていました。
面談を終えて——「借りられる額」ではなく「返せる生活」を考えた2時間
帰り道、夫は「数字の話というより、人生の話をしてもらった感じだな」と言いました。私もそう思いました。
家づくりを考えると、どうしても「いくらの家が建てられるか」に意識が向きます。でも今日の面談で気づいたのは、本当に考えるべきは「どんな暮らしを続けていきたいか、そのためにお金をどう配分するか」だということ。家はその一部に過ぎないのだ、と。
ちなみに、「無理なく返せる金額」の具体的なシミュレーションは、この日はまだ出ませんでした。まずは我が家の収支と将来の見通しをFPに把握してもらう回、という位置づけで、次回の面談でシミュレーション表を見せてもらう予定になっています。数字の話は次回にしっかり書きます。
同時に、70代後半まで返し続けることへの不安も、両親とまだ話し合えていないことへの宿題も、ちゃんと残りました。面談が終わったからといって、すっきり解決したわけではない。むしろ、考えなければいけないことの輪郭がはっきりしてきた、という感じです。
それでも、「とりあえず話を聞いてみよう」と行った場所で、ここまで丁寧に向き合ってもらえたことは、素直によかったと思っています。工務店の紹介だからと身構えていた自分が、少し恥ずかしくなりました——でも、身構えるくらいの慎重さは、これだけの買い物には必要だったとも思っています。
面談が終わって外に出たとき、私はひとつ、自分の中で整理できたことがありました。「不安がある」と「進んではいけない」は、別のことだということです。お金の不安は消えない。でも、不安を抱えたまま前に進む覚悟が、この日少し固まった気がしました。夫は帰り道にもノートを広げていましたが、私はただ窓の外を見ながら、「よし」と静かに思っていました。
- 「借りられる額」ではなく「返せる生活」を基点に話してもらえた。住宅ローンの話を”家計全体の中の一項目”として整理してもらえるのが、FP相談ならではだと感じた
- 気になることは、その場で正直に聞いてよかった。「この工務店で建てましたか」という少し踏み込んだ質問にも、素直に答えてもらえた
- 任意ならば年収などのアンケートは答えなくてもよかったが、正直に話したことで的外れのない提案をしてもらえた
- 「両親への相談」「住宅ローン減税」「贈与税の非課税枠」——知らなかった論点を教えてもらえた。調べればわかることでも、「自分たちの話」として整理してもらえる点が違った
まとめ
- 無料・2時間・夫婦のみで参加。場所は工務店の打合せ室
- 工務店紹介のFPへの疑念は正直あった。「自分はこの工務店で建てましたか」と聞いたら「違う」と言われ、少し安心した
- 年収や貯金だけでなく、旅行・子どもの進路・老後の生活まで聞かれた。人生全体からお金を逆算する場だった
- 「いくらの家か」より「無理なく返せる金額から逆算したい」という気持ちを正直に伝えられた
- 70代後半まで借りられると聞いたが、「借りられる」と「返し続けられる」は別の話。夫が自営業であることが不安の根っこにある
- 「両親に話したことがない」と面談中に気づいた。援助を受けるかどうかより、話し合うこと自体がまだできていなかった
- 住宅ローン減税・贈与税の非課税枠など、制度の話も整理してもらえた
📌 同じ状況の方へ:FP面談は「いくらの家を建てるか」を決める場ではなく、「無理なく返せる生活」を逆算する場です。工務店紹介のFPに不安がある場合は、遠慮なく質問してみてください。年収だけでなく、旅行・教育費・老後まで含めたシミュレーションをしてもらうと、判断の軸が見えてきます。
📌 同じ状況の方へ:FP面談は「数字を並べてもらう場」ではなく、人生全体からお金を逆算する場です。旅行・教育費・老後まで聞かれる覚悟で行くと、より実のある時間になります。工務店紹介のFPでも、独立した立場で話してくれるかどうかは最初に確認できます。
次回は、同じFPとの2回目の面談について書く予定です。この日に「次回シミュレーション表を見せてもらう」という約束をして帰ったのですが、実際に2パターンの表を見て、金利の前提条件に不安がぬぐい切れなかった話をお伝えします。
「借りられる額」と「返せる額」のギャップ、皆さんはどう折り合いをつけましたか?うちはまだ、うまく飲み込めていません。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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