本記事にはアフィリエイト広告(PR)が含まれます。
テーブルの上に2枚のA4が並べられました。総予算9,000万円のケース。そして7,000万円のケース。シミュレーションの説明が始まったとき、いつもメモを取り続ける夫が、珍しく手を止めていました。「NISAを止めるのか」と夫がぽつりとつぶやいたのは、それから少し後のことです。老後のために続けてきた積み立てと、家づくりを、同時に手にする道がないかもしれない——FP2回目の面談は、「借りられる額」の次の問いを突きつけられた日でした。
総予算9,000万円・NISAと住宅ローンの両立・自営業家庭の現実と向き合った話
📌 同じ状況の方へ
住宅購入とNISAの両立は多くの方が悩むポイントです。「止める・減らす・続ける」の判断は家計全体を見てから。FPに相談すると整理しやすくなります。
→ 後編:9,000万円でも足りない?予算の現実 | 住宅ローンまとめ記事
1回目のFP面談で「借りられる額」と「返せる額」の差に向き合った私たちが、数週間後に受けた2回目の面談の話です。
- 総予算9,000万 vs 7,000万——FPのシミュレーション2パターン、月々の支払い差はいくらだった?
- 70代後半までローン返済が続く——自営業で「来年の売り上げすらわからない」夫が感じたリアルな怖さ
- 家を建てたらNISAの積み立ては数十年間止まる——住宅ローンと資産運用は両立できないのか
- シミュレーションの金利前提は2%——固定と変動で何が変わるのか、夫婦の間で出た疑問
- 帰り道に「マンションという選択肢もあるかもね」と言った夫が、翌朝にはメモを広げていた話
← FP面談・後編、70代まで借りられるという言葉の重さ
前回のあらすじ
工務店紹介のFPへの疑念を抱えつつ、2時間の面談に臨んだ年収だけでなく旅行・進路・老後まで聞かれ、「借りられる額」と「返せる額」の違いに気づきました。今回は、FP面談の2回目。具体的な予算の数字と向き合います。
シミュレーション表を広げながら、FPが2つの数字を並べて説明し始めたとき、夫は珍しくメモを取る手を止めていました。
テーブルの上に2枚のA4が並べられました。総予算9,000万円のケース。そして、総予算7,000万円のケース。どちらも、我が家には大きな金額です。ふたつの表を前に、夫婦でしばらく黙っていました。「選ぶ」というより、「受け取る」という感じがしました。
👫 登場人物: 直感派の妻と、調べ始めたら止まらない自営業40代の夫。都市部で土地から注文住宅を建てる4人家族の記録です。連載のあらましは 第1話 からどうぞ。
2つのシミュレーション——9,000万と7,000万の差
📌 これからFP相談を検討中の方へ
2回目のFP面談はシミュレーション表が出てくる回。9,000万円と7,000万円が並んで月返済額が比べられたあの瞬間の話と、相談前にやっておきたい準備は、まとめ記事に整理しています。
▶ FP相談の全記録を読む
2パターンのシミュレーションは、当然ながらそれぞれ月々の返済額が変わります。9,000万円のプランで月30万円台、7,000万円のプランで月20万円台。2つのプランの差は、月に7万円ほどになります。
夫がテーブルの上の表を見たまま、「月7万円の差か」と静かに言いました。計算が速い人なので、口に出す前に何度かシミュレーションしていたはずです。
「7,000万円では、ご希望のエリアや仕様だと少し厳しいかもしれません」とFPは言いました。頭ではわかっていました。我が家が住む都市部でも、戸建て用の土地を買おうとすると、最低でも2000万〜3,000万円はかかります。以前参加した完成見学会で見た家は、建物関連の費用だけで5,200万円でした。足し算をすれば、7,000万円という数字がいかに綱渡りかは、すぐにわかります。希望している土地のエリア、素材のこだわり、家の広さ——すべてを譲れずに進めようとすると、7,000万円という数字では足りない可能性がある、ということです。
夫はそこで初めてペンを走らせました。何をメモしたのかは見えませんでしたが、たぶん数字だったと思います。隣で見ていて、「ああ、この人もちゃんと現実を受け取っているんだな」と思いました。
| プランA(上限) | 総予算9,000万円 |
|---|---|
| プランB(下限) | 総予算7,000万円 |
| 月々の返済額(概算) | プランA:30万円台 / プランB:20万円台 |
| 2プランの差額 | 月約7万円 |
| 計算の前提金利 | 2% |
シミュレーションの前提——収入は下がり、一定の年齢以降は無職
2つの表に共通していたのは、収入についての前提でした。
「現在の収入水準がしばらく続いた後、ある時点から徐々に下がっていき、一定の年齢以降は無収入」という想定で、資産の推移が計算されていました。前回の面談で「最長70代後半まで借りられる」と聞いていましたが、今回はその年齢に至るまでの道のりを、数字で見せられたということです。
グラフの線を目で追いながら、頭の中で別のことを考えていました。夫は自営業です。定年がない。それは一見、長く働けるという強みのように見えます。でも裏側から見れば、来年の売り上げすらわからないということでもある。今の収入が10年後も同じように続く保証は、どこにも書いていない。
表の前提は「収入が少しずつ下がっていく」でした。それは正しい想定だと思います。でも、いつから、どのくらいのペースで下がるのかは、誰にもわからない。グラフの線は滑らかに下がっていましたが、実際の自営業の収入がそんなになだらかに推移するとは、正直なかなか思えない。
夫はそのグラフをしばらく眺めてから、ぽつりとつぶやきました。
前提が崩れたらどうなるんですかね……
FPに向けた質問というより、独り言に近かったかもしれません。「前提が崩れること」は十分にあり得る——それは誰もが薄々わかっていて、だから口にしにくい問いでした。
ちなみにその直後、夫はFPに突然こう聞きました。
建物の断熱性能が高いと、光熱費の額も変わりますよね?
たしかに、光熱費も長期的にはかなり変わりますね。
ですよね!
重い話の合間にそれを聞く、とは思いました。私はそっと目配せを送りましたが、夫は気づかないふりをして、そのまま断熱の話を続けようとしていました。
📖 FP相談の全記録はこちら
注文住宅のFP相談で聞かれたこと・持参書類・ライフプランの中身
注文住宅のFP相談って何を聞かれる?準備物は?工務店紹介のFPで体験したこと・わかったことを体験談でまとめました。
NISAを、数十年間ずっと止める
シミュレーション表を説明しながら、FPがさらりと言いました。「住宅ローンの返済が始まったら、NISAへの積み立ては難しくなるという前提で計算しています」と。
※ここで言っているのは、これから先の毎月の積み立てを止めるという話。すでに積み立ててきた分を売って取り崩すかどうかは、また別の判断になります。この区別は、後日 ep9 で夫から教わって整理できました。
その言葉が、予想外に重く響きました。
我が家はここ数年、夫婦でお金の勉強をしながら、NISAを使って投資信託を積み立ててきました。老後のための備えとして、ふたりで一緒に考え始めたことです。
それを、ずっと止める。
「当面」ではありません。ローンを返し終わるまでの数十年間、NISAの積み立ては難しい——そういう計算です。頭ではわかる。でも、老後のためにふたりで続けてきたものを、これから数十年間止めたまま生きていく、という現実を突きつけられると、なんとも言えない気持ちになりました。
夫も同じことを感じていたようで、ぽつりと言いました。
NISAを、止めるのか……。
FPの前で感情的になることもなく、ただ確認するように。私は黙ってうなずきました。
「家を買う」ということは、ある意味で「老後のための積み立てを、住宅という資産に形を変える」という選択でもあります。それが正しい判断かどうかは、正直まだわかりません。でも、「どちらを選ぶか」ではなく「NISAをやめてローンを返す数十年を選ぶ」という現実を、表の数字を通じて初めてはっきり受け取りました。
💡 住宅ローンとNISAの両立について
住宅ローンの返済が始まると、毎月の積み立て余力が減ります。我が家がこの面談で一番重く感じたのは、続けてきたNISAの積み立てを止めなければならないかもしれない、という点でした。「家を買う」という決断が、他のお金の使い方にも連鎖していく——そのことを、この日初めてリアルに感じました。NISAと住宅ローンの両立については、ご自身の家計状況をもとにFPに相談されることをおすすめします。
金利2%という前提への疑問
シミュレーションの計算は、金利2%を前提としていました。夫がすぐに聞きました。「これは固定金利の想定ですか、変動金利ですか」
FPが説明してくれました。固定金利であれば現時点で2%前後で借りられる商品はある。変動金利の場合は今はもう少し低い水準で組めることも多いが、数年後・十数年後も同じ水準である保証はない、と。夫は黙ってメモを取っていました。
帰り道、夫が言いました。「固定にすれば安心だけど、最初から2%だと総額がすごいことになるな」。変動にすれば今は少し低く借りられる。でも金利が上がれば返済額も上がる。「どっちにするの」と聞いたら、「まだわからん、もう少し調べる」と返ってきました。
住宅ローンの解説動画を片っ端から見てきたはずの夫が、「まだわからん」と言う。それくらい、金利の選択は簡単に答えが出るものではありませんでした。私も、正直どちらがいいのか、今もまだわかっていません。
⚠️ 金利の前提について
シミュレーションでは「金利2%」を前提に試算されました。変動・固定ともに金利が上昇傾向にある今、「やや高めの前提で計算しておく」というFPの判断は、今になって思えば安全マージンを見ていたのだと理解しています。変動か固定かは最終的に自分たちで選ぶことになりますが、どちらを選んでも「金利が上がったとき返せるか」を一度シミュレーションしておくことをおすすめします。
9,000万と7,000万、2つの数字。NISAを止める重さ。金利2%の意味。数字ばかり見ていた前半でしたが、この面談が本当に胸に刺さったのは、ここからでした。
住宅購入とNISA、両立できそうですか?うちは「止める/減らす/続ける」の三択でかなり悩みました。
住宅ローンについて体系的にまとめた記事はこちら → 住宅ローン 固定vs変動、自営業の住宅ローン選び体験談【2026年版】
FP相談で学んだことをまとめ記事で体系的に解説しています。 資金計画の立て方・FPの選び方・相談前の準備まで詳しく解説。
→ FP相談まとめ|家づくり初心者が学んだ資金計画と相談のコツ
次に読むべき記事
次回予告
次回は、「9,000万円でも希望通りには建たない」と知った日。霧は晴れなかった、でも上限は分かった——そんな2回目の続きです。
お金のことをFPに無料で相談する
住宅購入・保険・老後資金など、専門家に相談できます。オンライン可・相談料0円。
▶ 無料FP相談を申し込む(オンライン可)
※相談料無料・勧誘なし・オンラインOK
この話のポイント
- 9,000万円と7,000万円の差は月7万円の返済額。希望エリア・仕様の両立には上限近くが必要だった
- ローン返済が始まるとNISA積み立てを数十年間止めることになる。「家以外に譲るもの」を把握する
- シミュレーションの前提は金利2%——固定か変動かの答えはまだ出ない。「金利が上がったとき返せるか」を一度考えることが大切だと知った
📌 次にやるべきこと: 住宅ローンの基礎知識と金利の考え方を整理したい方はこちら。
👉 住宅ローンまとめ|固定vs変動、自営業の住宅ローン選び体験談
筆者より一言
FPさんの数字は厳しかったですが、おかげで家計の穴が見えました。
無料FP相談で資産・住宅ローンの不安を解消
家計・教育費・老後資金まで、ファイナンシャルプランナーに無料で相談できます。家を買う前の予算確認に。
※無料・オンライン対応
📚 シリーズ別まとめ記事(ピラーページ)
家づくりの全テーマを5つの総合ガイドにまとめています。気になるテーマから読み進めてください。
注文住宅のFP相談で聞かれたこと・持参書類・ライフプランの中身
注文住宅のFP相談って何を聞かれる?準備物は?工務店紹介のFPで体験したこと・わかったことを体験談でまとめました。
注文住宅の概算資金計画書の読み方、坪単価以外にかかるお金
👩 妻のひとこと 工務店から渡された資金計画書を初めて見たとき、書類を持つ手が少し震えました。「坪単価」だけ見て「これくらいかな」と思っていた金額の、はるかに上を行く合計欄。で…
2026年版・住宅ローンの選び方、変動・固定・フラット35を比較
固定vs変動金利の仕組み、125%ルールの落とし穴、諸費用・保証料の全体像、住宅ローン減税の仕組みまで。自営業40代が実際に調べ・体験したことをまとめた一記事。
土地探しで失敗しない7つのコツ、不動産業者4社を3ヶ月回って判明
👩 妻のひとこと 土地探しを始めた当初、「いい土地はネットに出ない」とよく聞いていました。でも実際に4社を3ヶ月回ってわかったのは、「いい土地」より先に「我が家にとって買っても…
2026年版・工務店とハウスメーカーの違いと選び方ガイド
👩 妻のひとこと 初めてモデルハウスに足を運んだ日、私は「工務店」と「ハウスメーカー」の違いがよくわかっていませんでした。4回の見学会を回ったあと、ようやく「うちが選ぶならどっ…
💬 よくある質問
- Q. NISAを止めて住宅ローンに回すのは正解?
- A. ケースバイケースです。FPからは「数十年止める」シナリオを提示されましたが、機会損失と運用益の差は家計次第。我が家も即決はせず一度持ち帰って計算し直しました。
- Q. シミュレーションの「金利2%」は妥当?
- A. 2026年時点で多くの銀行の変動金利は1%前後ですが、日銀の金融政策正常化を背景に短期金利・長期金利ともに上昇余地が指摘されています。FPシミュレーションの前提金利が「現状維持」を仮定していないか必ず確認し、金利上昇シナリオを含む複数パターンで比較することをおすすめします。詳細は住宅ローンまとめに整理しています。
- Q. FPシミュレーションは複数パターンで比較すべき?
- A. 借入額や金利の前提を変えたパターンを並べて見ることで、月々の返済額だけでなく、教育費・老後資金への影響まで立体的に見えてきます。「これくらいなら無理なく返せる」「これ以上は危ない」の境目が判断しやすくなり、予算上限の決め手になります。






