住宅ローン事前審査(後編)——金利・手付金・予算が動いた日

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📖 前編のあらすじ

この記事は後編です。前編はこちらからお読みいただけます。

目次

「この銀行に決めないといけないの?」という疑念

工務店に紹介してもらった銀行で面談を受けながら、頭の片隅にずっとある疑問がありました。「この銀行に決めないといけないんだろうか」ということです。

後から、工務店の担当者に聞いてみたら、「他の金融機関と並行して検討していただいて構いません」という答えでした。紹介を受けたからといって、この銀行一択で進める義務はない、ということを確認できたのは、大事な確認でした。

ただ、頭の片隅には別の疑問も残りました。ネット銀行という選択肢です。金利だけ見るとネット銀行の方が低いケースも多い。でも、担当者に聞いてみると、注文住宅の場合はそう単純でもないようで、帰ってから改めて調べてみました。

土地を買うときのお金の流れ——「手付け金は一旦自分たちで」

面談では、土地を購入する際のお金の流れについても説明を受けました。住宅ローンは何段階かに分けて実行されるのですが、一つだけ注意が必要なことがあります。

土地購入時の手付け金は、一旦手元の資金から捻出しないといけないとのことでした。後から融資を受けることはできるようですが、その場では一時的に自分たちのお金が必要になる、ということです。

「え、全部ローンでまかなえるわけじゃないんだ」と思いました。手付け金は物件価格の5〜10%程度になることが多く、数百万円の現金が一時的に動く話です。土地も建物も全部ローンで、と漠然と考えていた自分には、少し意外な話でした。

タイミング 必要な資金
土地購入の手付け金 一旦手元資金が必要(後から融資を受けられる)
土地の残代金 つなぎ融資などで対応
着工金・中間金 つなぎ融資などで対応
引き渡し後 住宅ローン本融資が実行される

金利の話——変動か、固定か

住宅ローンの金利は、日銀の政策金利に連動する「基準金利(店頭表示金利)」から、銀行が審査で決定する「優遇幅」を差し引いて決まります。

今回の地銀で提示された変動金利の目安は、4月以降に借りる場合で1.1%台とのことでした。固定金利の説明も受けましたが、変動と比べるとかなり高く、夫はその場でうっすら「変動かな」という顔をしていました。

ただ、変動金利には金利が上昇するリスクがあります。FP面談のときにも触れられていた話です。「今は低いけれど、将来にわたって同じとは限らない」という前提は、どの選択をするにしても頭に置いておく必要があると思っています。変動か固定かの答えは、まだ出ていません。

「もう少し借りられますよ」——予算が、また動いた

面談の終盤、3年分の年収資料をもとに審査のシミュレーションをしてもらいました。担当者から返ってきた言葉は、「もう少し借りられますよ」というものでした。

そのとき夫がした判断を、私は横で見ていました。

FP面談を2回経て、ようやく「9,000万円台」という上限の目安を手に入れたはずでした。それなのに夫は、担当者のその一言を受けて、予算を1,000万円追加することを決めました。

止めませんでした。

止められなかった理由が、夫への同調だけではなかったことは、正直に書いておきたいと思います。モデルハウスを見て、完成見学会を重ねるうちに、私の中にも「いい家に住みたい」という気持ちが、気づかないうちに育っていました。漆喰の壁に手を触れたとき、ピットダウンリビングに足を踏み入れたとき、木製サッシ越しに見えた外の緑——あのひとつひとつが、じわじわと積み上がっていたんだと思います。

だから夫が「1,000万円追加する」と決めたとき、「待って」とは言えなかった。言いたくなかった、という方が正直かもしれません。

最初に工務店の見学に行ったころ、「家ってこのくらいかな」と思っていた金額から、気づけばずいぶん遠いところに来ていました。「高い家ほどいい」とは思っていない。でも、見るものを見るたびに「もう少し」が自分の中にも積み上がって、気がつけば最初の感覚とはかけ離れた数字になっている。それが正しいのかどうか、自分でもよくわからなくなっていました。

帰りの車の中で

打合せ室を出て、工務店の駐車場から車を出したのは夕方でした。

少し走ったところで、夫がぽつりと言いました。

「1億円だって。返済できるのかな」

私は何も言いませんでした。言葉が出てこなかった、というのが正直なところです。

返済できるのか、と問われたら、「できる」とは言い切れない。でも「できない」と言いたいわけでもない。1億という数字が、口に出された途端に急に現実の重さを持ち始めたような感じがしました。

車の中はしばらく静かでした。ふいに夫が「でもさ、断熱性能の高い家なら光熱費が月1万浮くとして、30年で360万——」と計算を始めたので、「今その話する?」と遮りました。夫は「……ごめん、現実逃避かもしれない」と苦笑いしていました。それ以上は何も言いませんでした。

「億」という単位のお金を、自分たちが借りようとしている。そのことを、2人でただ、静かに受け取っていました。

まとめ

  • 場所は工務店の打合せ室。工務店は挨拶のみで退席し、銀行担当者と夫婦2人で約2時間
  • 面談内容を工務店と共有することへの同意を最初に求められた。紹介元とはつながっている
  • 聞かれたのは年収・借入状況・信用情報。預貯金は聞かれなかったのが意外だった
  • ガン団信は40歳以上は対象外だった。団信の内容は銀行ごとに違う。金利だけで比べてはいけないと気づいた
  • 夫がおなかをさすりながら団信への加入を心配。現在病気でなければ問題ないとのこと
  • 「この銀行に決めないといけないの?」→他行との並行検討は問題なしと確認できた
  • 注文住宅でネット銀行を選びにくい理由は、つなぎ融資に対応していないケースが多いため。自営業の審査も厳しい傾向がある
  • 土地購入の手付け金だけは自己資金が必要。ローンで全部まかなえるわけではないと初めて知った
  • 変動金利の目安は1.1%台。固定との差を見て夫は変動に傾いている様子だが、まだ決めていない
  • 「もう少し借りられる」の一言で夫が1,000万円を追加。最初に思い描いていた数字から、気づけば遠くに来ていた
  • FPと相談しながら「9,000万円を上限の目安にしよう」と自分たちで決めた数字と、銀行が審査で出してきた1億円は、1,000万円の差がある。銀行は家計の事情を知らずに貸してくれる。自分たちで決めた上限を、自分たちで守ることが大事だと改めて感じた
  • 帰りの車で夫が「1億円、返済できるのかな」とつぶやいた。私は何も言えなかった

📌 同じ状況の方へ:住宅ローンの融資相談は、事前に必要書類を確認しておくとスムーズです。団信の条件は年齢や金融機関によって異なるので、複数行を比較することをおすすめします。「もう少し借りられる」と言われても、自分たちで決めた上限を忘れずに持っておくことが大事です。

📌 同じ状況の方へ:住宅ローンの事前相談では、金利だけでなく団信の内容・つなぎ融資の対応・自営業への審査方針も必ず確認してください。自営業の方は特に、複数の金融機関に並行して相談することをおすすめします。

次回は、住宅ローン事前審査の結果についてお伝えします。結果が出るまでの1週間、夫が「もう少し待ちたい」と言い続けた話も書きます。

「返せるのかな」とふと怖くなる瞬間、皆さんにもありましたか?帰り道の車の中が、いちばん静かになる時間かもしれません。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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