「いい土地があれば連絡します」と言われ、ただ待ち続けることへの焦りを感じたことはありませんか。
私も同じでした。商談中の土地の返事を待つ間、「他にも動いておこう」と夫婦で話し合い、私が1人で別の業者を訪ねてみることにしました。
この記事では、地域密着型の業者だからこそ持っていた情報の話と、条件に合わなくても「半歩前進」と思えた理由をお伝えします。
この記事でわかること
- 商談中の土地を待つ間に、妻が1人で別の地場業者を訪ねた——夫が始めた家づくりで妻が主体的に動き始めた話
- 従業員8人中7人がそのエリアに住んでいる業者——学区や通勤時間帯の道路状況など住人ならではの情報とは
- 「ネットに載っていない物件は、正直あまりない」——2社続けて同じ答えが返ってきた
- 100坪超の土地を「分筆できないか」と売主に聞いてくれた——ただし西側道路で「鰻の寝床」になりそうだった
- 条件に合う物件はゼロでも「半歩前進」と思えた理由——自分の条件を知ってくれている業者がもう1社増えた
← 注文住宅の土地探し、地場の不動産業者に飛び込んだ日|「不義理じゃないですよ」の一言と、帰り道の夜桜
5件の土地を見て全滅した日の午後、飛び込みで地場の不動産業者を訪ねました。「不動産業者を複数使うのは不義理か」という不安に、若い店長さんは「そんな工務店いないので大丈夫ですよ」とあっさり答えてくれました。地場ならではのエリア情報という「ものさし」を手に入れた一方、提案された物件はランディで見たことがあるものばかり。ただ、「商談中の土地がある。公園の前、駅まで徒歩数分」という言葉を残して、その日は終わりました。
待っていられませんでした。
前回の業者から「本決まりになればご紹介します」と言われた商談中の土地。公園の前、駅まで徒歩数分。条件としては理想に近い。でも、いつ連絡が来るかわからない。来ないかもしれない。待っているだけの時間が、じりじりと重たくなっていました。
あの日から3日後。私は1人で、別の不動産業者を訪ねることにしました。
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登場人物:直感派の妻と、調べ始めたら止まらない自営業40代の夫。都市部で土地から注文住宅を建てる4人家族の記録です。連載のあらましは 第1話 からどうぞ。
夫が始めた家づくりだったのに
妻
家づくり、最初は夫が引っ張っていたのに、いつの間にか私の方が現地を回るようになっていた。どこかで、自分ごとになった瞬間があったんだと思う。
地場業者を複数回ったときの「物件数は変わらないが情報の質は変わる」という気づき。業者の使い分けの考え方は、土地探しまとめ記事で詳しく解説しています。
思えば、家づくりを始めたのは夫でした。動画を見て工務店を調べ、見学会を予約し、「もう行こう」と私を引っ張ってきた。私はそれについていく側だったはずです。
それがいつの間にか、土地探しでは私のほうが動くようになっていました。夫は平日、仕事が忙しくてなかなか時間が取れない。「じゃあ、私が行こう」。自然とそう思えたのは、あの夜桜を見た帰り道から、土地探しが「夫の家づくり」ではなく「私たちの家づくり」になっていたからだと思います。
インターネットで、希望のエリアに強そうな不動産業者を探しました。前回の業者とは得意エリアが違う。カバーする範囲を広げたかったんです。
8人中7人が、このエリアに住んでいる
妻
「8人中7人が同じエリア」という言葉、業者さんが教えてくれた。こういう一言で、視野が変わることがある。
事務所に着くと、物腰のやわらかい担当者さんが対応してくれました。
希望条件を伝え、今の状況を話していると、担当者さんがさらっとこう言いました。
うちは従業員8人のうち、7人がこのエリアに住んでいるんですよ。
前回の業者の店長さんは、長年の経験と取引実績でエリアの「ものさし」を持っていました。今回の業者は、それとは少し違う強みがありました。自分たちが住んでいるからこそ知っている情報です。どの学区が人気なのか、スーパーや病院までの距離感、朝の通勤時間帯の道路の混み具合——住人にしかわからないこと。
学区の話は特に詳しくて、子どもの年齢を伝えると、このエリアならどの小学校区がどういう雰囲気か、具体的に教えてくれました。ポータルサイトの「駅徒歩◯分」だけでは絶対に見えてこない情報です。
「ネットに載っていない物件は、正直あまりないです」
担当者さんに、率直に聞いてみました。地場の業者にしかない物件はどのくらいあるのか、と。
返ってきた答えは、前回の店長さんとほぼ同じでした。
正直に言うと、ネットに載っていない物件というのは、あまりないです。
2社続けて同じことを言われると、さすがに納得感がありました。前回の店長さんからレインズの仕組みを聞いたときは「そうなんだ」という理解でしたが、別の業者からも同じ答えが返ってくると、これが業界のリアルなんだなと腹落ちしました。どの業者に行っても扱える物件は基本的に同じ。それでも足を運ぶ意味があるとすれば、物件データではなく「エリアの知識」の差——さっきの学区の話を聞いて、それを実感したばかりでした。
💡 「地場にしかない物件」への過度な期待は禁物
我が家は2つの地場業者を訪ねて、どちらからも「ネットに出ていない物件はそう多くない」と言われました。以前の記事で聞いたレインズ(不動産流通機構)の登録義務を考えれば当然のことですが、2社から同じ話を聞いたことで確信に変わりました。同じ物件データを見ていても、「エリアの知識」や「売主との関係性」には差がある——それが地場の業者に足を運ぶ本当の価値だと感じています。
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100坪超の土地と、分筆という選択肢
夫
「分筆」という言葉、このときまで知らなかった。大きい土地を分けて買えるなら選択肢が広がる——でも手続きの複雑さも増す。
条件を聞いた担当者さんが、ひとつの物件を見せてくれました。
この業者が売主側の仲介をしている土地で、面積は100坪を超えていました。広すぎて買い手がつかず、分筆して売却する話も出ているとのこと。
100坪。我が家が探しているのは40〜50坪程度なので、倍以上です。当然、そのままでは予算をはるかに超えます。
半分にしても、うちの予算では厳しいですね……。
そう伝えると、担当者さんはこう提案してくれました。
お客様の予算に合うサイズで分筆できないか、売主さんに聞いてみることはできますよ。
驚きました。こちらの予算に合わせて、土地の切り方を売主に相談してくれるという話です。ポータルサイトで物件を検索して、条件に合うものを待っているだけでは、絶対に出てこない選択肢でした。
📝 分筆(ぶんぴつ)とは
ひとつの土地を複数に分けて、それぞれ別の土地として登記することです。大きすぎて売れない土地を、買い手がつきやすいサイズに分けて売却するケースがあります。分筆には測量や登記の費用がかかるため、通常は売主側が負担します。買い手としては「この大きさなら買える」という交渉が可能になる場合があります。
西側道路と、鰻の寝床
ただ、実際にその土地の図面を見て考えると、すぐに課題が見えてきました。
土地は西側が道路に面しています。100坪超の土地を半分以下に分筆すると、奥行きだけが長い、いわゆる「鰻の寝床」のような形状になりそうでした。
私たちがずっとこだわっている「抜け感」。窓の向こうに空が広がるような、開放的な景色。鰻の寝床では、それが取りにくい。隣の建物に囲まれて、視界が閉じてしまう可能性が高い。
夫にも写真と図面を送って相談しましたが、反応は薄かったです。
うーん、ピンとこないな……。
夫がこう言うときは、たいてい本当にピンと来ていません。
念のため、工務店の担当者にも聞いてみました。返ってきたのは——
優等生的な土地ですね。
悪い土地ではない。でも、ワクワクするような土地でもない。そういうニュアンスが伝わってきました。
半歩前進
結局、この土地は見送りました。
でも、担当者さんには「条件と予算に合った土地が出てきたら、連絡をいただけますか」とお願いしました。快く引き受けてくれて、それ以降、メールで毎日のように条件に合う物件情報が届くようになりました。
劇的な一歩ではありません。理想の土地が見つかったわけでもない。ただ、「自分たちの条件を知ってくれている業者が、もう1社増えた」。それだけのことです。
それでも、半歩前進だと思いました。
土地探しを続けていると、つい「決まらない焦り」に引っ張られそうになります。でもこの日、私はひとつ気づいたことがあります。我が家の土地探しは、「ある中から選ぶ」ではなく、「気に入った土地が見つかるまで粘る」というやり方になりつつあるということ。
それは、時間がかかる道です。でも、何十年も住む場所を「まあ、ここでいいか」で決めたくない。夫も、たぶん同じことを思っています。夜桜を見ながら「最高だよね」と笑い合った日から、その気持ちはぶれていません。
土地探しの全記録をまとめ記事で体系的に解説しています。業者の選び方・土地を見るポイント・失敗しない判断基準まで詳しく解説。
→ 土地探しの全記録|家づくり初心者が学んだ失敗しないための完全ガイド
- 得意エリアが異なる複数の業者を訪ねることで、ポータルサイトにない選択肢(分筆提案など)が生まれる
- 同じ物件データでもエリアの知識や売主との関係で「見え方」が変わることがある
- 待つだけでなく自分から動いた分だけ、家づくりが「夫の家づくり」から「私たちの家づくり」に変わる
📌 次にやるべきこと:土地探しの全体像と業者選びのコツをまとめました。
👉 土地探しまとめ|3ヶ月かけて学んだ条件整理と業者選びのコツ
妻がひとりで業者を回った日。夫婦で動く家づくりの形が、少し見えた気がします。
📚 シリーズ別まとめ記事(ピラーページ)
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💬 よくある質問
- Q. 夫婦どちらか一人で不動産業者を回るのはアリ?
- A. 問題ありません。一人で訪問しても担当者は対応してくれます。我が家の場合、夫が中心で進めてきた家づくりに対し、妻が一人で別の地場業者を訪ねてみたことが「夫の家づくり」から「私たちの家づくり」に変わる転換点になりました。一人だと落ち着いて担当者と話せたり、自分の視点で物件を見られる時間が持てる利点もあります。
- Q. 100坪超の土地、分筆という選択肢は使える?
- A. 100坪超の広い土地は買い手がつきにくいため、売主が分筆して一部を販売する提案を受けられる場合があります(分筆の測量・登記費用は通常売主負担)。ただし分筆後の形状が「鰻の寝床」のような細長い形になったり、建築基準法第43条の接道義務(道路に2m以上接する)や最低敷地面積条例で建てられる建物が制限されることもあるので、地場業者や工務店の協力を得ながら進めるのが現実的です。
- Q. 西側道路と「鰻の寝床」は本当にデメリット?
- A. 一概には言えません。西日対策の窓配置や採光計画次第で、十分快適に住めます。土地選びの判断軸は土地探しまとめで整理しています。
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半分にしても、うちの予算では厳しいですね……。
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