「本当に自分たちのことを考えて動いてくれている業者なのかな」——そんな疑問を感じながら、土地探しを続けていることはありませんか。
私たちも途中まではそうでした。でも、4社目の担当者が私たちの依頼とは別に、自分でモデルハウスを見に行っていたと知ったとき、その疑問が消えました。
この記事では、「物件数より担当者の質」だと気づいたきっかけと、帰り道に夫婦で担当者を褒め合った話をお伝えします。
この記事でわかること
- 2社目から「まだ紹介できない」と連絡——待てないと感じて4社目を再訪したら、驚いたことが待っていた
- 担当者が自分の判断で工務店のモデルハウスを見に行っていた——「どんな土地を紹介すべきか判断するため」
- 非公開物件を2つ集め、他の業者にもあたって土地を探してきてくれた仕事ぶりに感動した話
- 複数の業者から同じ物件を紹介された——仲介手数料はどちらに払う?夫婦で決めたルール
- 98坪の分筆を相談したら擁壁の再構築費用まで正直に教えてくれた——「人で選ぶ」という気づき
← 注文住宅の土地探し、紹介された物件がすべて「見たことがある土地」だった日|「早く決めてほしい」という空気と、自分たちで探す力
工務店紹介の仲介業者(1社目)との3回目の面談で、紹介された物件はすべてネットで見たことがあるものでした。建ぺい率やハザードの問題を夫がその場で指摘し、自分たちの「調べる力」がついてきたことを実感。面談の終盤、夫が冗談半分で見せた予算約1,000万円オーバーの土地に、仲介業者がその場で売り側に電話をかけるという展開も。今回は、4社目の不動産業者を再訪した話です。
4社目の不動産業者を訪ねる数日前、2社目の業者から電話がありました。
「以前、ご紹介できる可能性があるとお伝えした物件なのですが、持ち主の方がまだ決めかねておりまして……。もう少しお時間をいただけますか」
次回の打ち合わせは、約1ヶ月後になるとのことでした。
受話器を置いて、少しだけ考えました。1ヶ月。それ自体はおかしな期間ではありません。土地の売主にも事情がある。それはわかっています。でも、待っているだけで何かが動くとは、もう思えなくなっていました。
今、私たちが頼りにできるのは、自分たちの足と、声をかけている複数の不動産業者。そのなかで、4社目の業者とは前回の面談で「1週間後に提案資料を見せてもらう」約束をしていました。予定通り、再訪することにしました。
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登場人物:直感派の妻と、調べ始めたら止まらない自営業40代の夫。都市部で土地から注文住宅を建てる4人家族の記録です。連載のあらましは 第1話 からどうぞ。
「モデルハウス、いくつか見てきました」
「物件で選ぶ」から「人で選ぶ」に転換した日のエピソード。担当者選びのチェックリストは、土地探しまとめ記事で具体化しています。
店に入って、席について、まず驚いたのは担当者の第一声でした。
前回の面談のあと、お客様が建てたいとおっしゃっていた工務店のモデルハウスを、いくつか自分で見に行ってきました。
一瞬、意味を理解するのに時間がかかりました。不動産業者の担当者が、私たちが検討している工務店の家を、わざわざ自分の目で見に行った。なぜそこまでするのか。
「どんな家を建てるのかがわからないと、どんな土地を紹介すればいいか判断できないと思ったんです。間取りの取り方とか、庭をどれくらい確保したいかとか、実際の建物を見ないとわからないこともあるので」
隣に座っている夫の表情が変わったのがわかりました。目を見開いて、少し前のめりになっている。夫は家づくりに関して異常なほど調べる人ですが、その夫が「この人はすごい」と感じたときの顔を、私は知っています。今がまさにその顔でした。
「実際に見てみて、なるほどこういう家を建てたい方なんだなと。それなら間口はこれくらい必要で、南側の開口を取りたいだろうから……と考えながら物件を探しました」
不動産業者は土地を売る仕事です。建物のことまで踏み込む義務はありません。でも、この担当者は、私たちが何を大切にしているかを理解するために、自分の時間を使ってくれた。その事実が、ただただ嬉しかったのです。
ふと、以前の面談を思い出しました。1社目の仲介業者との面談で、「公園前で抜け感がある」と紹介された土地を、夫がストリートビューで確認したら電線だらけだったこと。担当者に聞くと「現地は確認していないので分からない」と言われたこと。あのときの不信感があったからこそ、今回の担当者が自分の足でモデルハウスまで見に行ったという事実が、どれほど嬉しかったか。同じ「不動産業者の担当者」でも、ここまで違うのだと実感しました。
「がっかりさせたくないので」——探してきてくれた土地
担当者はそこから、集めてきた物件の説明に入りました。
まず、非公開物件を2つ。一般の不動産ポータルサイトには掲載されていない、業者間だけで流通している物件です。前回の面談からわずか1週間でここまで用意してくれたことに、改めて感心しました。
さらに、担当者はこう付け加えました。
がっかりさせたくなかったので、他の不動産業者にもいくつかあたって、ご紹介できる土地を探してきました。
自分の会社が持っている物件だけでなく、他の業者にまで声をかけて土地を探してくれていた。前回の面談で私たちの条件が厳しいことはお互いに理解していたはずです。それでも、できる限りのことをしてくれた。
探してきてくれた土地のひとつは、条件的には悪くない立地でした。ただ、前面道路が私道でした。
私道の場合、将来的にメンテナンスの費用を近隣の所有者と分担する必要が出てくることがあります。上下水道の補修や舗装のやり直しなど、公道であれば行政が対応してくれるものを、自分たちで管理しなければならない。長く住むことを考えると、そのコストと手間は無視できません。
この土地を購入することはないだろうと思いました。でも、担当者がここまでしてくれたこと自体に、心が動きました。土地探しを始めて約3か月。紹介された物件に対して「この人は本気で探してくれたんだな」と感じたのは、これが初めてだったかもしれません。
💡 前面道路が「私道」の土地を検討するときに確認したいこと
私道に面した土地は、価格が相場より安いことが多い反面、将来的な維持管理の負担が発生する可能性があります。上下水道管の補修費用を近隣と分担する必要があるか、私道の持分(共有か単独か)はどうなっているか、建て替え時の通行掘削承諾は得られるかなど、購入前に確認しておきたい項目がいくつかあります。我が家は、長期的な維持費の読みづらさから、私道の物件は見送る方針にしていました。
同じ物件、別の業者——仲介手数料はどちらに払う?
紹介された物件をひとつずつ確認していく中で、気づいたことがありました。
他の不動産業者からも紹介されたことがある物件が、何件か含まれていたのです。
条件に合う土地は限られています。複数の業者に依頼していれば、同じ物件にたどり着くことは珍しくありません。ただ、ひとつ疑問が浮かびました。もし万が一、この土地を購入することになったら、仲介手数料はどちらの業者に支払うことになるのか。
帰りの車の中で、夫とこのことを話しました。
法律上は、売買契約を仲介した業者に手数料を支払う仕組みです。つまり、どちらの業者を通じて申し込むかは、買い手が選べる。
私たちは夫婦で話し合い、「その物件を最初に紹介してくれた業者のところで仲介を頼もう」という方針を決めました。どちらの業者も同じ仕事をしてくれているとはいえ、最初に見つけてきてくれた人の努力を尊重したい、と思ったからです。
そして、もうひとつ感じたことがあります。複数の業者に依頼していることを、黙っているのは良くないな、と。
同じ物件が重複して紹介されるということは、業者側から見れば、知らないうちに他社と競合している可能性があるということです。担当者がせっかく時間をかけて探してきてくれた物件が、すでに別の業者から紹介されていた——そのことを知らせないまま面談を重ねるのは、担当者に対して誠実ではない気がしました。
💡 複数の不動産業者に土地探しを依頼すること自体は問題ない
土地探しを1社に絞る必要はなく、複数の業者に依頼すること自体はごく一般的です。ただ、同じ物件が複数の業者から紹介されることは実際に起こります。我が家では、「最初に紹介してくれた業者に仲介を頼む」というルールを夫婦であらかじめ決めておくことで、いざというときに迷わずに済むよう備えています。また、他社にも依頼していることを正直に伝えた方が、担当者との信頼関係を保ちやすいと感じています。
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98坪の土地と、擁壁のリスク
担当者が紹介してくれた物件の中に、今すぐ購入を検討したいと思えるものはありませんでした。
これは担当者の力不足ではなく、私たちの予算の問題です。希望するエリア・駅距離・広さを満たす土地は、予算内にはほとんど存在しない。それは、もうわかっていました。
そこで、私たちの方から、以前から気になっていた土地を提示しました。
「この土地なんですが、98坪あるんです。分筆してもらう交渉って、考えられますか?」
以前、別の地場の不動産業者を訪ねたとき、100坪超の土地を予算に合うサイズに分筆するというアイデアを教わっていました。そのときは形状の問題で見送りましたが、「分筆」という選択肢があること自体を知れたのは大きかった。今回はそれを踏まえて、自分たちから提案してみたのです。
98坪の土地をそのまま購入する予算はありません。でも、半分に分けてもらえれば、ちょうど良い広さになる。売主が応じてくれるかどうかはわかりませんが、可能性を聞いてみたかったのです。
担当者は「もちろん、頑張らせてください」と前向きに応じてくれました。
ただし、すぐにこう付け加えました。
「この土地は擁壁で高さがあるんです。分筆して建てる場合、既存の擁壁を全部壊して作り直す必要が出てくるかもしれません。そうなると、その工事費だけでかなりの金額になるので、お得ではないかもしれません」
メリットだけを伝えて「頑張ります」で終わらせることもできたはずです。でも、この担当者は、デメリットを先に伝えてくれた。私たちが期待を膨らませて、あとから「話が違う」と感じることがないように。
この対応ひとつで、信頼感がまた少し積み重なりました。
⚠️ 擁壁のある土地は、建築前に追加費用が発生することがある
高低差のある土地では、既存の擁壁が建築基準を満たしていない場合、建て替え前に擁壁の再構築が必要になることがあります。擁壁工事は規模にもよりますが数百万円単位の費用がかかるケースもあり、土地の価格が安くても総額では割高になることも。我が家も、土地の価格だけで判断せず、擁壁・地盤・インフラ整備の費用まで含めて考えるようにしています。
「次回のアポ」を取らなかった理由
面談の終わりに、担当者から「次回のお打ち合わせはいつにしましょうか」と聞かれました。
ありがたい申し出でした。でも、私たちは少し迷った末に、こう答えました。
他の不動産業者にも依頼している手前、定期的にアポイントを取ることで、この担当者の貴重な時間を使ってしまうのが申し訳なかったのです。モデルハウスまで見に行ってくれた人の時間を、中途半端に奪いたくはない。
担当者は「もちろんです。何かあればいつでもご連絡ください」と、気持ちよく応じてくれました。
帰り際、夫が立ち止まりました。
「今日の仕事ぶり、本当に感動しました」
夫がこういうことを面と向かって言うのは珍しいことです。調べることには全力を注ぐ人ですが、自分の感情を言葉にして相手に伝えるのは、あまり得意ではない。それだけに、この言葉が出たことに、私も少し驚きました。
担当者は照れた様子で、こう答えました。
「前の上司が、それくらいして当たり前だという人だったので。自分もそう思っています」
爽やかな言葉でした。気負いもなく、かといって謙遜しすぎることもなく。この人の仕事に対する姿勢が、そのまま表れているような一言でした。
✅ 「この人に頼みたい」と思えた担当者の特徴(本記事で私たちが観察したこと)
- 打ち合わせの合間に、こちらの希望に合う土地を自発的に探してきてくれる(「がっかりさせたくないので」)
- 同じ物件を複数業者で見たとき、仲介手数料の流れを正直に説明してくれる
- 物件のメリットだけでなく、擁壁など将来費用が読みにくいリスクも先に共有してくれる
- 「次回のアポ」を強引に取らない——こちらのペースを尊重してくれる
- 帰り道に、夫婦で「この人に頼みたい」と言葉が一致する安心感がある
※ これはあくまで私たちの体験ベースの観察メモであり、一般論ではありません。各項目の詳細は本記事の該当セクションで解説しています。
帰り道——「この人に頼みたい」という気持ち
車に乗り込んで、信号待ちの間に、夫が口を開きました。
「あの担当者、すごいな」
「うん。モデルハウスまで見に行くって、なかなかできないよね」
「しかもデメリットもちゃんと言ってくれるし。擁壁の話、あそこで黙ってたら、あとで大変なことになってたかもしれない」
しばらく、ふたりで担当者のことを褒め合っていました。紹介された物件自体に魅力的なものはなかった。それは事実です。でも、帰り道の気持ちは、前回の面談とはまったく違うものでした。
前回——1社目の業者との3回目の面談の帰り道は、消化しきれない気持ちを抱えた沈黙でした。「早く決めてほしい」という空気への戸惑い。今回は、その正反対です。紹介された物件に決め手はなかったのに、不思議と前向きな気持ちで車を走らせていました。
違いは何だったのか。物件の良し悪しではなく、担当者の仕事ぶりだったと思います。
モデルハウスを自分の目で見に行ったこと。がっかりさせたくないからと、他の業者にまであたって土地を探してくれたこと。メリットだけでなくデメリットも正直に伝えてくれたこと。「頑張ります」の後に「ただし」を付け加える誠実さ。
土地探しを始めたころ、私は「良い物件を紹介してくれる業者が、良い業者だ」と思っていました。でも、この3か月で気づいたことがあります。土地探しは、物件だけで選ぶものではない。誰と一緒に探すかが、同じくらい大切なのだ、と。
良い物件は、巡り合わせとタイミングの問題でもあります。でも、良い担当者は、自分で選ぶことができる。そして、良い担当者と一緒に探していれば、物件が見つかったとき、安心して判断できる。
まだ、私たちの条件に合う土地は見つかっていません。でも、「この人に頼みたい」と思える人に出会えたこと。それだけで、この日の面談には意味があったと感じています。
——そして、もうひとつ。1社目の仲介業者がその場で売り側に電話をかけてくれた「予算約1,000万円オーバーの土地」も、ついに現地を見に行く約束が取れました。条件をはっきり詰めるのは、その日になりそうです。
土地探しの全記録をまとめ記事で体系的に解説しています。業者の選び方・土地を見るポイント・失敗しない判断基準まで詳しく解説。
→ 土地探しの全記録|家づくり初心者が学んだ失敗しないための完全ガイド
- 物件の数だけでなく、メリットとデメリットを正直に伝えてくれる担当者の姿勢が信頼の基準になる
- 複数業者に依頼している場合、同じ物件が重複したときのルールを夫婦で事前に決めておく
- 土地探しは最後は「物件」ではなく「人」で選ぶことの大切さに気づいた
📌 次にやるべきこと:土地探しの業者選び・パートナーの見つけ方を知りたい方はこちら。
👉 土地探しまとめ|3ヶ月かけて学んだ条件整理と業者選びのコツ
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💬 よくある質問
- Q. 不動産業者を「人で選ぶ」とは具体的にどういうこと?
- A. 「物件の不利な点も先に伝えてくれる」「自分の予算で買える物件をデメリット込みで紹介してくれる」担当者を選ぶ、ということです。我が家もこの基準に切り替えてから打ち合わせの満足度が変わりました。
- Q. 同じ物件を複数業者から提案されたら、誰に手数料を払う?
- A. 業界として明確な慣習が確立しているわけではなく、複数業者が「自分が先に紹介した」と主張してトラブルになることもある曖昧な領域です。法律上は「契約成立に介在した業者」が報酬を受ける建付けですが、複数業者が動いた場合の判断は当事者間の調整に委ねられます。買主側でできる対策は「いつ・どの業者から紹介された物件か」を記録しておくこと。重複に気づいた段階で早めに業者へ事情を伝え、調整してもらうのが安全です。
- Q. 擁壁のある土地、どんなリスクがある?
- A. 擁壁の補修費用、水抜き穴の追加工事、地盤改良など見えないコストが積み上がります。さらに自治体のがけ条例(高さ2m超のがけは離隔距離が必要など)で建てられる範囲が制限されることも。素人判断は危険なので、工務店や建築士に現地を見てもらうのが安心です。詳細は土地探しまとめで整理しています。
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